ウェイトレス
レポートの爲の讀書がなくなつた分、またぞろ本の蟲が騷いで手元から本が離せない。相變はらず、歴史もの、ミステリー、ホラーは多いが、最近の本の中では平山夢明『ダイナー』ポプラ社、2009年10月が注目の一冊。決してお勸めはしない。
樂して儲けやうと氣樂に危ないことに足を突っ込んだばかりに、プロの殺人者相手の會員制ダイナーのウェイトレスをさせられるオオバカナコ。「大莫迦な子」と呼ばれるのが嫌だつたと云ふ設定は笑へるが、そこで起きる狂氣は、唯一一般人のカナコにはひとつひとつが恐怖であり、殺しの描寫が湯氣が出る程生々しく、露骨でえげつない。讀み進むだけで、うんざりする程だ。それでも、カナコの運命、人としての成長も氣になり、ハラハラし乍ら結局、一晩で讀んでしまつた。
『「超」怖い話』竹書房恐怖文庫シリーズ、『東京伝説』竹書房文庫シリーズ、『怖い本』ハルキ・ホラー文庫を讀み通した者には、お馴染みの惨殺場面かも知れない。どの本ももう一度手に取って讀みたくなるものは一切ない。生々しい描寫が腦裏にこびり附いて離れないからだ。寧ろ、忘れたい位なのに、また新刊が出るとつひ讀みたくなつてしまふ。完全に平山の術に嵌つてゐるやうだ。
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