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2009年12月16日 (水)

福富太郎蒐集品

Kiyokata サントリー美術館で開かれてゐる「清方ノスタルジア -名品で辿る鏑木清方の美の世界-」展の教育プログラム、トークライブに參加した。明治學院大學教授、山下裕二のセミナー「最後の繪師・鏑木清方 福富太郎コレクションを中心に」だが、非常に爲になつた。

 畫家と云ふよりも、物心附いた頃から筆を持ち(筆ネイティブ)、江戸時代と地續きで記憶に殘る頭の中をするりと描ける繪師であった清方。山下少年の清方との出會ひは、切手であつた。
 この清方は挿繪仕事から繪の仕事を貰ひ、徐々に活躍の場を廣げた人。1920(大正9)年の第二回帝展に出品した「妖魚」が受け入れられず否定されるどころか、獨逸の幻想畫家ベックリンのパクリだと云はれて深く傷附き、どうも官や國の展覧會には反發してゐたらしい。自分の範疇を超えた作品を評價しない審査員は器の小さい輩で、駄目だと山下先生はばっさり。清方は氣乘りしない委託品の場合、どうも着物の柄が單調なのに、好んで描いた美人畫の場合、絞りや江戸小紋に至るまで精緻に描いてゐる。

 そんなことを聞いてから、展示を觀ると繪師の氣持ちが汲み取れる氣がした。そして、かう云ふ繪を澤山買ひ集められた、福富さんには感謝しなければならないだらう。美人畫や幽靈畫に戰爭畫と云ふ官展で評價されないけれど、自分が好きな作品だけを集められのが凄いのだと云ふ。評價の決まつたものだけ、薦められるままに買ふやうでは一流の蒐集家ではないと山下先生。會場に來られてゐた福富さんも、褒められて素直にお喜びだった。

 昔はテレビでも見掛けたが、キャバレーで財をなし、それを元手に繪を買ふなんて粋な人なんだなあ。

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コメント

清方ですか!大好きな美人画絵師なので、私もぜひ会期中に訪れようと思います。

大学卒業後、某大型書店で働いていた時、豪華本売り場のレジが私の持ち場でした。福富さんは時々お姿を見せて、高額の画集や版画集を吟味されお買い上げ下さっていました。今でもお元気の由、何よりです。

投稿: なつ | 2009年12月16日 (水) 23時03分

福富さんは畫集を買つて勉強してたんですね。さすがだなあ。>なつさん

根っから繪が好きなのでせうねえ。

投稿: gramophon | 2009年12月17日 (木) 21時51分

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