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2009年12月24日 (木)

贋作

 誘はれる儘に歌舞伎學會と云ふものに出席した。お目當ては、昨年寫樂の肉筆畫發見と騷がれた《假名手本忠臣藏》の「二段目圖」扇面が贋作の可能性があると云ふ新藤 茂先生の講義。

 鑑定で真筆と認めるのはよいが、本物と証明されたというのはおかしくはないか、
 比べるべき本物が少ないこと、
 東洲齋冩樂の「齋」の字がこの時代に珍しくこれだけ「齊」となっていること、
 この年代は既に「東洲齋冩樂」ではなく「冩樂」だけの版畫が多いこと、
 書き込みに不自然な点が多いこと、
  例へば五代目松本幸四郎は鉤鼻と顎が特徴あるのにそれが出てゐないので、四代目と間違へてゐる、
  二段目の科白があるので歌舞伎に詳しい人らしいが何時書き込まれたのは
 判らないが扇にしてからだと不自然(筆書きの際に折り目で引っ掛かる筈)
  加古川本藏と戸無瀬が婚約者同士小浪と力彌を引き合はせようと云ふ科白だが、繪の女性は小浪
 本蔵と小浪が立ち姿でいるのも二段目としては不自然
 他の寫樂の版畫の部分を集めるだけで似た繪が描けること、
 加古川本蔵の髷の形は現在の形と違ふが、過渡期であつたのでこれは判別材料にならない
 娘小浪の髪飾りが少なく娘ぽく描いてゐないことや、家紋の位置が不自然、
 赤ではなく黒い着物は二色刷には他に例もあるがおかしくはないか、
 本藏の手にもつ扇子の端が赤、刀の鞘も赤は解せない…

等多くの疑問點を擧げられ、本物と斷定するのはどうかという提議であった。反論する人もあつたが、非常に説得力のある説明である。今後の行方が知りたくなる。

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コメント

例へば五代目團十郎は・・・書き込みは「五代目松本幸四郎」です。

「東洲齋寫樂」ではなく「寫樂」・・・「寫」ではなく「冩」です。

投稿: | 2009年12月28日 (月) 02時44分

すみません、メモも取らず、うろ覺へで書きました。

投稿: gramophon | 2009年12月28日 (月) 10時31分

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