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2010年1月21日 (木)

退任記念展

 藝大退任記念展 「絹谷幸二 生命の軌跡」の最終日に何とか間に合つた。洋畫なのだらうが、日本畫のやうに金箔を使つたり、漫畫のやうに「あ」「あ」「う」「う」と感嘆詞が入り、「色即是空」のやうに經文も描かれ、パステルのやうな色鮮やかで躍動感に溢れて、ポップでもあり、面白い繪と造形物が並んでゐた。題材には戰爭が根底に描かれてゐるが、その上に佛樣が居たり、現在の混沌とした世界が描かれてゐる。それでも、何か希望を感じさせ、明るい色調は心の底から、ふつふつと喜びが溢れ出て來るやうな樂しさがある。

 ふと、見ると絹谷幸二、ご本人も居た。目が合つた途端に近寄つて來て、「ようこそいらっしゃいました」とご丁寧なご挨拶をして下さった。これはきっと、目立つヒゲの所爲かと小躍りしさうであつたが、他の人にも同じやうにしてゐたので、單なる勘違ひ(笑)。入口正面の立體作品「灣岸の悲劇の長井物語」はぶ厚い板を彫ったものに丹念に着色したものだが、「どれ位掛かるものなのですか」と尋ねると「いやあ、これはそんなぢゃありませんよ。切っては貼り、切っては貼りますので…」とのお答へ。

 若い頃の作品は暗い畫面に緑青色の線ばかりで、今の作風とは大違ひであった。以前、「美の壺」の「富士山」の時に描いてゐた「蒼天富嶽龍寶圖」2007が一番氣に入った。加藤大治郎のテーマカラーと同じ、ブルーを背景に、にょきっとした富士山とその手前に寶珠を握った龍が雲間に見える構圖が樂しい。現代美術は難解で敬遠しがちだが、どんな解釈も成り立ち、觀る人の自由に任せてゐるやうな懐の大きさがよかった。

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