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2010年1月13日 (水)

挿繪畫家

 地下鐡根津驛から程近い、東大彌生門の前、彌生美術館で生誕130周年「鰭崎英朋展」-明治・大正の挿繪界を生きる-を觀た。

 泉鏡花の装幀や口繪を描いた鏑木清方、小村雪岱は後に日本畫、舞臺美術と活動の場を廣げたのに對し、同じ鏡花本に携はつた鰭先英朋(ひれざき えいほう)だけは終始一貫して挿繪の世界だけに生きた爲、今ではすっかり忘れられてゐる。

 併し、鏡花の口繪の中で、劇的な場面を描いたら右に出るものは居ない。『續風流線』口繪のやうな繪は他にない。妖艶な美人畫、相撲の取組繪なども素晴らしい。瞬間を描く爲に終生冩生を欠かさなかった鰭崎。然も、新聞の連載小説は文章が間に合はず、作家が先に情景だけ速達の葉書で知らせ、それだけで描いても、きちんと物語に合ふから凄い。日々追はれる締め切りに合はせて、どんどん描くのはさぞかしたいへんであったらう。

 3階には「高畠華宵コレクション」の常設展示室があり、雑誌『少年倶樂部』の表紙繪や美人畫も觀られる。此処は、高畠華宵の描いた「さらば故郷!」に少年時代、深い感銘を受けた辯護士、鹿野琢見により創設された美術館である爲、作家との交流の記録と共に多くの原畫が所藏されてゐる。然も、著作権を所有してゐると云ふのだから、餘程深く親交があり、信頼されてゐたに違ひない。

 隣に併設されてゐる武久夢二美術館では、「竹久夢二と大正ロマンの世界展」-女性・流行・文化生活にみる新しい波-が觀られる。夢二の肉筆畫や千代紙の圖案、着物、楽譜の表紙など結構な數がまとめて展示されている。

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