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2010年2月 1日 (月)

韋駄天お正

 今も靜かな流行が續く白州正子は貴族生まれのお姫樣の筈が随分とお轉婆であつたらしい。幼少より能を習ひ、白州次郎と結婚するも家庭を顧みず、家事や子育てもせずに文章と骨董に夢中になる。青山二郎や小林秀雄に徹底的に審美眼を鍛へられ、二度も胃潰瘍で血を吐き、やっと己好みの美を見出したと云ふ凄まじい人。

 それが故に若い頃は「韋駄天お正」と呼ばれたとか。その正子との對談集、『日本の傳統美を訪ねて』2009年ン、河出文庫を讀むと話し振りからその人柄が炙り出されてゐる。縁遠い能樂も實はそんなしゃちこ張ったものではないとか、自分の感性で良い物を選べばよいなど、骨董だけでなく成る程と思ふことも多い。
 特に相手に合はせて、言葉を操る妙は見習ひたいもの。難しいものをさも難しいさうに語る衒學趣味ではなく、分かり易く生きた言葉を使ふのが本物だと、作家、車谷長吉と語り合つてゐる。耳が痛い指摘を受けた。

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著者:白洲 正子

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コメント

難しいものをさも難しいさうに語る衒學趣味ではなく、分かり易く生きた言葉を使ふのが本物だと、作家、車谷長吉と語り合つてゐる。
←まったく同感です。大学時に先生も専門分野を説明するときに、難解な内容を聴講する人々に合わせて分かりやすい説明をすると素敵に感じたものです。
話は変わり、町田の武相荘には行ったことがあります。

投稿: MO | 2010年2月 2日 (火) 15時09分

平易な文章の方が實は難しいですね。>MOさん

投稿: gramophon | 2010年2月 3日 (水) 10時48分

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