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2010年3月12日 (金)

能装束

 ホテル・オークラの創設者大倉喜七郎の父で、明治の實業家、大倉喜八郎が本邦初の私立美術館として建てた、大倉集古館で、新春を壽ぐ大倉コレクション「能面・能装束展」を觀る。

 鳥取、池田家傳來の能面と備前・池田家の能装束が存分に見られた。薄暗い館内のショウケースの淡い明かりの中、作品解説が多すぎず少なすぎず、丁度よい。空いてゐるので、多少人と前後してもゆったりと觀られる。
 能を舞ふ時にだけ着る特別な衣装である爲、きらびやかさ、意匠の優れたところなど、普通ではない。能舞臺で舞つてゐる時に見ても、餘り氣にしないのかも知れない。かうして、飾られ、解説を讀み乍ら觀ると、動く樣を想像し乍ら觀ることになる。

 △模様が蛇の鱗の意匠であることを知り、護符の意味ももつ籠目模様に花丸が重ねてある大胆なデザイン、菱形模樣の重ね方などとても新鮮。藤色の薄い生地に錦糸で刺繍が施された面妖な衣装は、先日、表具屋で見掛けた最高級の裂(キレ)にそっくりであつた。古くなつた袈裟や衣装が裂に使はれると聞いた氣がするが、そのものずばりの衣装が飾られてゐつので吃驚した。すると、こんな裂を使つて表装してみたら、どれ程立派な掛軸になるものかと、密かにひとりニタリと笑つてみたものの、肝心のそれに見合つただけ繪もないし、表装の技術もないので非現實的なのだが、想像力を掻き立てられた。

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