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2010年9月13日 (月)

小人傳説

 だいぶ涼しくなつたものの、讀書の秋と云ふ氣がしないが、自分の場合、八月はホラーに偏るものの、年間通じて本を讀む量は變はらない。

 けふお勸めするのは、大東亞戰爭末期にボルネオ嶋の山奧で矮人族(ネグリト)を追って、探檢してゐた三上隆が今も生存すると信じる教へ子や同郷の人々の冒險譚を描いた辻原 登『闇の奧』文藝春秋である。息もつかせぬ展開に、あッと云ふ間に讀み終へてしまつた。
 ほんたうに小人族の傳説があるのかどうか知らないが、和歌山カレー事件が出て來たり、只の小説と一笑にできない現實感が素晴らしい。和歌山、ボルネオ、中國、チベットと世界各地に話も移動して行くが、さもありなんと云ふ感じで、言葉の通じない奧地の人と意思疎通を圖る爲にまづは物々交換して行く樣はまるで見て來たやうな語り口。
途中幾度も出て來る「伊太利の秋の水仙」と云ふ歌に節があるのなら、是非聞いてみたいものだ。

闇の奥Book闇の奥

著者:辻原 登
販売元:文藝春秋
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