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2010年9月17日 (金)

二月堂

 東大寺の大僧正良辯が幼い頃に鷲にさらはれた傳説を元に、狂女となつて30年間、息子を捜し求めた母との再會を東大寺二月堂の前で劇的に描いた《良辯杉由來》。實際の場所を知つてゐると、嗚呼彼処だと状景が浮かび易い。舞臺もきちんと山肌の階段と柱が並ぶ背景が在る。
 この文樂九月公演では、ほんたうに幼い人形が大鷲にさらはれてしまひ吃驚。〈櫻宮物狂ひの段〉ではいつも連れの錦吾くんの獨奏もあり樂しめた。今回、自分が廳いた時は切り場の綱大夫が途中で降板してしまひ、自分の大嫌ひな千歳大夫となつたのでがっかりであった。あんなり大聲を張り上げなくても、情が傳はる筈なのに、氣持ちばかりが急く千歳大夫は聽いてゐて樂しくない。こちらまで力が入つてしまふから。

 そして、後半の三嶋由紀夫原作の《鰯賣戀曳き網》は咲大夫と燕三の作曲による新作。鰯賣りとお姫樣の荒唐無稽な戀物語だが、歌舞伎なら勘三郎の「鰯かうえい」と云ふ掛け聲で笑はせる筈が、咲大夫の一本調子の語りで餘り笑へない。もう少し喜劇にしてくれたら面白かったと思ふ。

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