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2010年10月21日 (木)

大阪城

OcNakamura レス協の集まりの前日に、大阪城西の丸庭園内の芝生の上に假設された、文字通りの芝居小屋「平成中村座」の晝の部公演へ。二階下手の最前列故、よく見える。眼下の花道も迫力が違ふ。以前、淺草で觀た同じ小屋の〈山科閑居の段〉は仁左衛門(15代目)が光つてゐたが、今回は大阪に因んだ作品が主となる。

 《熊谷陣屋》は殊の外、熊谷直實役の橋之助(3代目)がよかつた。一の谷合戰後、須磨の熊谷陣屋が舞臺となる。「一枝を伐らば一指を剪るべし」と記した制札を受け、天皇家のご落胤である敦盛を助けるやうに義經から密命があつた。それ故、合戰では密かに敦盛を助け、身代はりに自分の子供の首を差し出し、世の無常を感じて出家すると云ふ話。長袴を捌いての大見得など、お家藝(芝翫型)が勇壮豪快に演じられてゐた。
 人形のやうに大人しく、品格のある若武者、義經役をそつなく演じた獅童、自分の息子が殺されたと知り取り亂す熊谷の妻、相模役を母の情を全面に出した扇雀、宗清役の澁い彌十郎と脇役もよい。狭い舞臺故、義太夫節もよく通る。

 《紅葉狩》は平維茂(コレモチ)(獅童)が更級姫に化けた鬼女(勘太郎)を退治する話。舞が中心となるが、馬上の人として現れる獅童の堂々とした立ち姿、時折本性を出し乍ら舞ひ踊る勘太郎も若若しく、減り張りのある踊りがよかつた。そして、幕切れには背景が開いて、大阪城が現れる、此処でしか成し得ない演出に拍手喝采。義太夫、長唄、常磐津と聲色の違ふ音曲がまた素敵であつた。

 そして、《封印切》。遊女梅川(七之助)を身請けする爲に、八右衛門(彌十郎)の惡態に彈みで公金の封印を切ってしまふ忠兵衛(勘三郎)。死罪は免れず、來世で結ばれることを誓つて死ぬしかない悲戀物語。文樂《冥途の飛脚》では親しんでゐるが、歌舞伎は初めて。

 七之助の艶やかさが一段と輝いてゐた。玉三郎の妖艶さに及ばないにしても、當代随一の若手女形だらうか。所作も美しく品がある。また、彌十郎の悪役振りは憎々しげでよい。そして、勘三郎のへなった優男がまた似合ひ、おちゃらけてゐたのが事態の急轉に腰が抜け、未練や親に對する詫びであつたり、身請けに對するお祝ひの中、どんどんと落ち込んで行く樣が見事であつた。《夏祭》の海老藏に比べると、大阪辯も淀みなく、天晴れ。わざわざ觀に行った甲斐があつた。

 さて、今晩と明日、皇居前の和田倉門噴水公園レストランで開かれる、在日獨逸商工會議所主催「ドイツワインフェスティバル2010」へ手傳ひに行きます。事前申し込みが必要ですが、見掛けたら是非聲を掛けてください。

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