« 2010年10月 | トップページ | 2010年12月 »

2010年11月30日 (火)

大棧橋

P1070655 來年3月12日(土)、横濱大棧橋のホールで「春のドイツワイン・フェスタ」が行はれるので、その打ち合はせに横濱へ。大棧橋には丁度、「飛鳥II」が歸港してゐた。貴婦人と呼ぶに相應しいが、でかいのだ。遠くに見える「氷川丸」が矢鱈と小さい。
 フェスタではドイツワインだけでなく、ビュフェもあり、ヴィンテージワインの競賣も豫定してゐるので、大いに盛り上がつて欲しい。
 黄昏時のランドマークタワーも映える。
Minato


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年11月29日 (月)

正義の柱

 正式には「Bois de Justice(正義の柱)」と云ふ斷頭臺。死刑執行人が下手だと、幾度も囚人の首に斧をで斬り附けて多大な苦痛を與へることから、ルイ16世の提案で刃の角度が斜めで、刃に附いてゐる重りにより、素早く切り落とすギロチン(Guillotine)は1792年4月25日にフランスで正式に処刑道具として認められたと云ふ。

 さて、ジョルダーノのヴェリズモ歌劇《アンドレア・シェニエ》は實在した詩人の生涯を元に作られた悲劇。貧困に喘ぐ農民を放置する貴族階級に批判的であつたアンドレアは、理想主義者であり、革命後は穏健派に屬し、急進派の革命政府に追はれてしまひます。以前は伯爵令嬢であつたマッダレーナは娼婦となるものの、アンドレアを忘れることができず、召使ひから革命政府の要人となつたジェラールから身體を求められても、アンドレアの爲なら何でもするからシェニエを助けてほしいと懇願するであつた。彼女の愛の深さに心を打たれたジェラールは、裁判でアンドレアを擁護するもの、死刑判決が出て、マダレーナは看守を買収し、アンドレアと共に斷頭臺の露に消えるのであつた。

 フィリップ・アルローの演出はギロチンを思はずには居られない斜めの角度の板が幕代はりに降りて來たり、不安定な社會を象徴するやうに、壁も斜めであり、くるくると回る舞臺は落ち着かない世相を表し、革命には面も裏もあることを教へてくれる。非常に示唆に富んだよいものであつた。そこにジャンマルク・ファンデンブロークの映像が投射され、更に舞臺を盛り上げる。アンドレア・ウーマンの真ッ白い衣装も、何にでも染まり易い人間の本質を突き、フレデリック・シャスランの流麗な指揮で、激情に驅られる民衆や時代に翻弄される人々をよくまとめてゐた。
 主役の三人、ミハイル・アガフォルノフ(T)のアンドレア、ノルマ・ファンティーニ(S)のマッダレーナ、そしてアルベルト・ガザーレ(Br)のジェラールと、甘美な歌聲を響き亘らせ、ドラマティック・オペラの真髄を見せてくれた。東フィルも大いに應へて好演。歌って、歌ふ伊太利歌劇らしさに包まれたよい演奏であつた。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年11月26日 (金)

桟敷

Sajiki 當日の朝、突然のお誘いで演舞場へ。代打で11月吉例顔見世を桟敷席で觀劇。歌舞伎座に比べると、席は低くて、舞臺から遠く、決して見晴らしはよくない上、6席ひとつの入り口なので、密室感もなく、特別な優越感は全然ない。但し、友人がワインを持ち込んだので、ちびりちびりと飲み乍ら觀劇できるのは嬉しい。

 幸四郎の「ひらがな盛衰記」より「逆櫓」
 昨年は体調崩していた芝翫と孫宣生の踊り「梅の栄」
 菊五郎と菊之助の「都鳥廓白浪」

 七之助と並んで、今一番美しい菊之助は音羽屋らしい、女装から男に變はる。青年らしい、立ち居振る舞ひ、張りのある肌も見目美しい。また、體調を崩してゐた芝翫の枯れた藝や、幸四郎と菊五郎の圓熟した藝も素晴らしいが、これからと云ふ若手、右近、梅枝、萬太郎等次世代を擔ふ子たちが樂しみだ。少ない科白と、僅かな踊りしか見られなかつたが今後が期待できる。

 お隣の韓國が北朝鮮から砲撃されたと云ふのに、優雅に歌舞伎が觀てゐられるのも何時までのことやら。たまの、贅澤は素敵だ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年11月25日 (木)

深秋

Zipang レス協理事會の後、情報交換會と稱した食味會があつた。スーパーダイニング・ジパング 赤坂店と云ふ赤坂エキセルシオールホテル最上14階全床(ワンフロア)の巨大店。大勢の板前に仲居が清々しく動き回つてゐる。天井は剥き出し、竹垣にやうに見えるが金屬の衝立で幾重にも仕切られ、個室のやうな誂えもモダンな作り。一番奧は眼下に辯慶橋を望み、もう取り壊しの決まつた赤坂プリンスのクリスマスツリーを象つた照明が目の前に迫る絶景であつた。

 お辨當程度のものが出るのかと思ひきや、きちんとした會席であり、京都瓢亭のご主人や、先斗町禊川のご主人等と樂しく談笑できた。雲の上の存在だと思つてゐた方が下戸であつたり、飾らない人柄に触れて、大いに刺戟となる。
 料理は酒肴盛り合はせとして、落花生豆腐、汲み湯葉、亀甲餡掛け、バターナッツ南瓜摺り流し、春菊・菊花・占地茸浸し、炙り鰯小袖寿司等、小さな器に深秋が表現されてゐた。白子茶碗鱶鰭添へ、河豚燒霜サラダ作り、蓮蒸し セコ蟹の餡掛け、朴葉燒には牛フィレと銀鱈が載り、腹子飯にいくら醤油漬を掛け、赤出汁、マンゴムース・グラッセと云ふ贅澤尽くし。これでは腹回りを氣にしないといけない。


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年11月24日 (水)

俯瞰

Muza 以前はアムステルダム・コンセルトヘボウ管絃樂團と呼ばれてゐたが、現在は和蘭女王から王立を許されてロイヤル・コンセルトヘボウ管絃樂團となつてゐる。「ヘボ管」と略す奴も居るが…。こオケの何年か振りの來日公演へ行つた。その前に維納フィルの來日公演もあつたのだが、指揮者も曲目も變更となり、拂ひ戻したので、久し振りの外國オケのマーラーとなつた。然も、マーラー自身がコンセルトヘボウ管を始めて指揮したのと同じ交響曲第3番なので、期待も高まる。

 ミューザ川崎の4階中央に座ると、丸で天界から谷間の畑を俯瞰するやうだ。マリス・ヤンソンの指揮は、激情に走らず、オケをがっちり導き、現代のマーラーを浮かび上がらせる。この音は確かにコンセルトヘボウの音だ。アムステルダムのコンセルトヘボウ・ホールが眼の前に浮かぶ。それ位、ミューザの響きは同調してゐる。伯林フィルのやうに國際化が進み餘りに世界的技術集團に變はつたのに比べると、まだ歐州の一都市のオケの色が殘つてゐる。然も、結構トチルのが人間的かも知れない。

 この音の渦に身を潜めてゐると、近頃の雑事が浮かんでは消えて反芻するのだが、今此処の場に居合はせ、同じ感動を共有する喜び、この空氣の振動が心の震動を呼び起こす。生きてゐる証を感じる瞬間なのか。
 《指環》のエルダを得意とするアンナ・ラーソンのアルトは、深い大地から湧き上がるやうに、天界へ届く。軍樂隊から、葬送行進から、兒童合唱、女性合唱から、バンタ迄何でもありのマーラーの激しさに疲れたところに、第6樂章の〈アダージョ〉では豫定調和のやうにして、靜かに深く、濃厚な響きが神々しく鳴り渡り、終はりを迎へた。何んと素敵な體驗であつたことだらう。

Kawasaki 街は既に基督降誕祭の準備ができてゐた。


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年11月22日 (月)

ケナークラブ ワイン會

 先日行はれたドイツワインケナークラブの第二回ワイン會のご報告。昨年は80名の募集に100名もいらして下さり、大混亂であつたと云ふのだが、今年は60名と少なく、非常に家庭的な雰圍氣で親密な空間となつた。

 最初の式典では、司会を務めのだが準備に手間取り、時間通りに始められられず大迷惑をお掛けした。ケナー及び上級ケナーの成績優秀上位の方を表彰し、名譽ケナーをご紹介して無事終了。第二部の演奏會では佐藤久成さんの提琴、寿明義和さんの洋琴伴奏により、ベートーヴェンの《春》、ワーグナーの《懸賞の歌》そしてサラサーテの《ツィゴイネルワイゼン》と激しく温かく彈いてくれた。アンコールではブラームスの《洪牙利舞曲第5番》で大いに盛り上がる。
 そしてワイン會では、各社輸入元からご協賛頂いたドイツワイン10種を飲み、葡萄屋のビュフェと共に樂しく過ごして頂けた。人數が減ったのは殘念だが、ドイツワインの環が少しでも廣がつて欲しいものだ。


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年11月19日 (金)

東京三田倶樂部

 昨夜は帝國ホテル地下に在る「東京三田倶樂部」で講演した。ボジョレー・ヌーヴォーと獨逸ワインの解説後、蓄音器とは何かを説明し、HMV102の實演。
 通常お酒が入ると人の話は聞いてくれないものだが、皆さん熱心に耳を傾けてくれた。餘所の大學OB組織に赴くのも初めてであつたが、優れた人材の集まるところは違ふもの。樂しんで頂けてよかつた。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年11月18日 (木)

深淵

 更新が遅くなり申し譯ない。いつもなら、前日迄、遅くとも午前中の早い時間に書く筈であつたが、生憎とバタバタして忙しい上に、PCが愈駄目なやうで、電源を入れてから立ち上がるのに30分も掛かる。スヰッチが逝かれたか。

 さて、先日、藤村實穂子「リーダーアーベントⅡ」~生誕200年 シューマンを歌ふ~を聽きに、紀尾井ホールへ出掛けた。昨年に續いての獨唱會となるが、豫習をする間もなく聽いたので、真髄に触れられず、表面的な感覺のみとなつた。
 シューマンの《リーダークライス》、マーラーの歌曲、それにブラームスの《ジピシーの歌》と云ふ獨逸浪漫派による構成。バイロイトで《ワルキューレ》のフリッカや、《トリスタンとイゾルデ》のブランゲーネを歌ふ實力派であるにも拘はらず、歌劇よりも歌曲が得意だと云ふメゾ・ソプラノ、藤村はワーグナーのやうに體力を消耗しない所爲か、萬事餘裕があり、樂しげで、獨逸語を噛んで砕いて丁寧に發音してくれるので、心に染み入るやうに響き亘る。

 勉強不足が祟つて、初めて耳にする曲ばかりなので、暗がりで對譯もよく見えず、今ひとつ歌詞の意味が理解できなかつた。それでも、心に何かしら届いて來る。ホール全體を鳴らすやうに、皮膚から染み入るやうに、響いて來るのだ。まるでお經のやうだが、寝たtpしても心地がよい。


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年11月17日 (水)

實況視點

 蹴球の試合は別會場の大畫面に投影させることもあるが、歌劇はまだ少ない。紐育のメトロポリタン歌劇場がやつてくれた。初日の公演模樣を録畫し、場面によつては大冩となるので双眼鏡も要らないし、最新音響設備で聽くこともできる。この實況視點(ライブ・ビューイング)は來夏迄、歌劇季節(シーズン)を通じて續けられる。

 ワーグナーの樂劇《ニーベルングの指環》の序夜《ラインの黄金》新演出を新宿ピカデリーで觀る。ロベール・ルパージュの演出は度肝を抜く大膽なもの。機材だけでも28屯もしたので、建物を補強せざるを得なかったと云ふ大規模で、舞臺に直角に並んだ板が波を打ち、一回轉をする上、最新技術により、宙吊りとなつたライン乙女は歌ふ度に口から泡が出る、ローゲの足下では常に火が燃えさかり、ヴォータンがニーベルング族の住む地下へ降りる際にも、板が螺旋状に並ぶ、吊られてヴォータンが真横から徐々に普通に歩いて行くなど、普通では決して見られない素晴らしいものであつた。

 極めて中庸なレヴァインの指揮は安定してをり、ブリン・ターフェルのヴォータン、エリック・オーウェンズのアルベリヒは痺れる程の演技と歌聲であつた。これは紐育の現地で是非觀たくなる。その爲、寄附のお願ひもきちんとしてゐるところが素晴らしい。かう云ふのを文化と云ふのだらう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年11月16日 (火)

大觀

Meotokusu 明治神宮寶物展示室では特別展として「横山大觀」を開いてゐる。明治神宮鎮座90周年記念だと云ふ。

 昨年、小村雪岱を見てからと云ふもの、禪畫の畫題となる「寒山拾得」は誰にでも説明できるやうになつた。唐の時代の隠者で寒山を文殊、拾得を普賢の化身に見立てることもあるが、お經を持つ寒山に對して、拾得は箒をもつ姿を現してゐるもの。樣々に變容されてゐるが、基本はお經と箒をもつ二人の人物なのだ。

 大觀も描いてゐた。それも襖繪と掛軸と2作品も出品されてゐた。どうしても富士山ばかり描いてゐた印象を受けるが、中國を畫題にしたものも多い。ぼさぼさ頭や伸びた爪など現實的で不氣味でもあるが、心を和ませるやうな笑顔であり、傳説の人物たちが身近に感じられる。

 仲のよかつた菱田春草と同じやうに、境目に線を描かない「朦朧體」の作品も出品されてをり、點數が少ないものの幅の廣い活躍振りをしっかりと感じ取れる展示となつてゐる。雄大な風景や中國の故事に因んだ人物は生き生きと描かれてゐるのに、靜物は上手ではなくて、寧ろ下手な位にしか見えないが、それがまた人間臭くていい。

 續いて、本殿で參拝。この夫婦楠も力點(パワースポット)らしい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年11月15日 (月)

安くてうまい

Saizeria ファミレスなんかと端から莫迦にして、子供ができる迄、全く足を踏み入れたことはなかつた。化學調味料一杯であらうと勘繰つてゐたこともあるし、落ち着いて食べられず、子供でざわついた店は特に苦手だつた。ところが、自分に子供ができるとさうも言つてゐられない、一緒に一寸外食できる店が意外とない。消去法で仕方なく、ファミレスを選ばざると得なくなつた。

 だから、なかなか新しい鎖(チェーン)店は開拓しなかつた。それが以前、伊太利ワインツアーを企劃した際に現地でお手傳ひしてくれたかみさんの友人からサイゼリヤが安くで美味いし、ご主人とワイン2本飲んで微酔ひとなるから、お勸めすると言つて來たのだ。

 それぢゃ行つてみませうと、家族四人で近所の店へ。ほんたうにこの値段でよいのか吃驚。本物の伊太利の生ハムもあるし、然も不味くない。企業努力の賜物だらう。よくぞこの値段で提供できるものだ。素晴らしい。産地や流通から變革すると黒毛和牛も値段が下がるかも知れない。勉強になつた。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年11月12日 (金)

花遊ぶ

Kakou 知人が出品されたと云ふので、草月生け花展「花遊ぶ」を觀に、日本橋高嶋屋へ行つた。

 ご存知の方も多いと思ふが、小原流のやうに床の間に飾るやうな形式張つた生け花と違ひ、草月流は「何これ」と云ふか、華道の印象を全く拂拭させる大膽な生け方が多く、生花は勿論、流木や枯れ枝から、どでかく獨創的な作品が多い。よく云へば個性溢れるものばかり。各人2平方米程度の空間に思ひ思ひ飾り附けてあるが、この展示をする人も苦勞したに違ひない。或る程度統一性を持たせると共に、餘り同じやうな感じなものが並んでも飽きるので、適度にばらし、家元、勅使河原茜の超怒弩級な作品は會場だけでなく、百貨店一階にも飾られてゐた。

 この小林花光さんには以前、ベルランで一年に亘つて飾り附けをして頂いたことがある。美術と同じく、理解するものではなく、感じるものだらう。下衆な勘繰りでいけないが、底の抜けた瓶だか徳利を表現したのだらうか。よくもかう細かく編み込んで作つたものだ。棘が刺さらなかったのだらうか。
 中には小學生の作品も。巨大な家元制度の裾野の廣さ、礎を感じさせた。
 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年11月11日 (木)

ケナークラブ

 明後日、赤坂の獨逸文化會館でドイツワインケナーの資格保持者の爲の「ケナークラブ」、第二回ワイン會が開かれる。また、司會進行を仰せつかつてゐるので、今回は盛り上げやうと略式夜會服(タキシード)。會長も賛同して盛装なのに、その他のご長老からは却下された。招待された結婚式に着て行くことも多いし、自分は着慣れてゐるが、さうでないと面倒なのだらうか。俄然雰圍氣が落ち着いて、格調高くなると思ふのだが…。

 第一部では本年度ドイツワインケナー及び上級ドイツワインケナー呼稱資格試驗合格者の賞状授與と上位入賞者の表彰、名譽ケナーの認定

 第二部では佐藤久成(提琴)&寿明義和(洋琴)演奏會

 第三部では葡萄屋の料理のビュフェと輸入元ご協賛ワインのパーティー

です。まだ、席に餘裕があるので、獨逸ワイン好きなあなた!當日でも受附けできる。
藤森の紹介と言つて頂ければ、割引できるかも知れない。まづは是非、ご一報を!
http://www.dwgjp.com/WineA_2.pdf
http://www.dwgjp.com/WineB_1.pdf

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年11月10日 (水)

バーガー

Sukiyakiburger 犬の散歩がてら、またしても六本木中央街(ミッドタウン)へ。わざわざ車で行くこともないのだけれど、芝生で驅け回れ、駐車場代位はお辨當を買ひ、外のテラスで頂く。家族、銘々が温かい羮(アツモノ)、即ちスープであつたり、おこわ辨當であつたり、韓國式辨當であつたり、好きなものが買へるのが嬉しい。
 自分は食べづらひのにも拘はらず、すき燒の名前に惹かれて、「松阪牛 すき燒バーガー」に挑戰した。胡麻を振つたバンズは柔らかく、割り下で味附けした切り落としか端切和牛が薄切りの玉葱とレタスと共に挾んであるのだが、ヒゲにも附かず無事食べられた。ケチャップを使つてゐないのがよかった。
 併し、髭や口の周りばかりを氣にしてゐたので、肝心の味はひは、あれッどうだつたか。勿論、不味くはない、寧ろ美味ひのだが、どれ程美味いとか、比喩できる言葉を考へる前に全て食べてしまつた。


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年11月 9日 (火)

柚子

Myyuzu 以前、茂木のMotoGPの歸へり道、道の驛「茂木」で鉢植ゑの柚子を買つた。その時は大きな實を附けてゐたものだから、翌年から毎年、自家栽培で収穫を大いに期待してのことだった。
 併し、翌年の春先から揚羽蝶の幼蟲にすっかり葉を食べられて、丸裸にされた爲、花も咲かず、ヴェランダの只の植木でしかなかつた。それが、今年の猛暑の所爲で蟲が附き出したのは9月に入つてからのことで、直ぐ樣箸で摘んで驅除できたお陰で、全葉青々として、酷暑や水不足にも耐へ抜き、何時しか實つたのだ。
 濃い緑色から薄緑になり、徐々に檸檬色から濃い黄色に日々變化してゐる。料理の彩りに使はうか、冬至の柚子湯に使はうか、毎朝、見る度に樂しく想像してる。


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年11月 8日 (月)

超絶技巧

 佐藤久成さんの提琴獨奏會に東京文化會館小ホールへ行く。叙情的な曲が並ぶ、いつも乍らの超絶技巧も含む愉快な演奏會だつた。本邦初演のライネッケの提琴奏鳴曲は、練習をかなり積んだのだらう、すっかり自家薬籠中のものとなり、餘裕綽々とした演奏だった。技を見せ附けるでもなく、淡々と演奏してゐるのに訴へ掛けるものが多い。

 ラベルの〈ツィガーヌ〉の早い箇所はどのやうに彈いてゐるのかもう全く運指は見えない。それでも彈き零しがなく、完璧なのだ。
 もしケチう附けるとすれば、樂器が鳴り切れてゐないのか、佐藤さんの技と相性が惡いのか、演奏に附いて行けないのか、響き切らない。これが銘器ストラディヴァリウスなら應へ切れるのだらうか。舌を巻く腕前に感心するだけでなく、曲目の深い部分での共感が滲み出るよい演奏であつた。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年11月 5日 (金)

靜謐

 作品を觀てゐて、普段は使はない靜かで落ち着いている樣を示す「靜謐(セイヒツ)」と云ふ言葉を思ひ浮かべた。只今、三井記念美術館では「圓山應擧展」が開かれてゐるが、初期の「眼鏡繪」から大膽な構圖の「襖繪」まで網羅して、素敵な回顧展となつてゐる。

 西洋から傳はつた遠近法を驅使して細密に描かれた眼鏡繪は、當時「覗き眼鏡」と云ふ名で親しまれたもの。凸レンズを嵌め内側の繪を覗くと、立體的に見えたらしい。それに比べると、初期の襖繪は遠くで見るべしと云はんばかりに雑なのにも驚いた。枝が繋がつてなくても、近くで見なければ特に氣にならないから不思議。
 そして、屏風繪も餘白を活かした描き方が近代的でもあり、何とも大人しい、靜かな佇まひなのだ。ここから京都畫壇に通じてゐる何かがあるのだらう。「靜謐」の一言で片附くものではないのだが、きっと、お寺さんで襖を開けた途端に、聲を失ふ程の強い印象を與へたに違ひない「襖繪」も見事。是非、疊の上で見たかった。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年11月 4日 (木)

赤垣源藏

 國立劇場小劇場での文樂素淨瑠璃の會を聽く。前半の《誠忠義士銘々傳》より〈早野勘平陰腹の段〉は《假名手本忠臣藏》の〈早野勘平腹切の段〉を改作したもので、「早まったか、勘平」で知られる通り、思ひ込みで腹を切る場面。

 但し、本作は逃れようがなくなつてから腹を切るのではなく、覺悟を決めて陰腹を切り、それから千崎彌五郎が登場し、舅殺しを述懐し、原郷右衛門が現れて、真實がつまびらかにされるやうに順序も變へられ、切腹してゐうてもなかなかほんたうのことが知れず、勘平の無念の程もはっきりと表現される。併し、咲大夫の語りは演じ分けがはっきりせず、誰が語つてゐるのか字幕を見ないと判らないので、殆ど寝てしまつた。燕三の太棹は好演。

 今回の目玉はご存知住大夫&錦糸。《義士銘々傳》より〈赤垣源藏出立の段〉を華麗に演じてくれた。吉良亭討ち入りの晩に酔ッ拂つた源藏が德利を片手に兄の家を訪ねるが、酒代をせびりに來たものと取り次いでも貰へない。そこへ兄嫁が招き入れて、大病をした母に遠方の新たな主君に仕へる爲、暇乞ひに來たと傳へるが、二君に仕へるとは見下げ果てたと激怒し、兄、源左衛門も成敗すると槍を突き掛かり、母も刀を抜いて斬り附けるものの、やおら自分の喉に突き立て自害してしまふ。源藏の本心を悟り、後顧の憂ひがなきやうと真實を語るやうに迫った爲、そこで初めて、討ち入りの覺悟を語るのであった。

 大酔ッ拂ひから後半は忠臣にガラリと變はる樣は大衆娯樂の人氣作品だと知れる。その酔つてゐる樣、立て板に水を流すやうに語られる討ち入りの覺悟、人物の仕分けの妙が樂しめ、住大夫の素晴らしい口捌きを堪能できた。また、素人が耳にしただけでも、如何にも難しい手の太棹も錦糸さんの力演で華を添へ、笑ひあり涙ありの大活劇に聽き入ることができた。これだから文樂は止められない。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年11月 2日 (火)

ドイツワイン祭

Dw この間、在日獨逸商工會議所主催の「ドイツワイン・フェスト2010東京」があり、日本ドイツワイン協會連合會のひとりとして、志願奉仕をした話をしたが、今回はその報告。

 東京驛丸の内口から、皇居に向かひ行幸道路を行つた右側の和田倉噴水公園レストラン。大きな窓硝子から噴水や皇居が見える素敵な場所だ。名刺交換で知つたが、パレス・ホテルの經營であつた。設營後、ご厚意で用意して下さったお辨當を食べて、いざ出陣。

 初日は250人、二日目は150人を相手に、ワインを注ぎまくる。獨逸産發泡酒「ゼクト」を細いフルート硝子に注ぎ續けると、段々と手がプルプルとして來て、24本を越えた當たりから腱鞘炎になりつつあり、配置換へを願ひ出て交代。その後は、白ワイン6種、赤ワイン3種を説明し乍ら、ひたすら注ぎ續ける。

 お客さんはリストの通り上から飲みたがるが、こちらとしては當日試した通り、白から赤へ、輕快な味はひからどっしりとしたコクと重みのある味はひへ、順繰りに飲むことをお薦する。昔と違つて、最近のワインのラベルには村名、畑名も記載してゐないので、説明が難しい。ましてや自分で選んだものではないので、尚更、世間の評判程度しかお話できないのが、何とも齒痒かつた。また、長丁場を氷水に漬けたり、出したりして温度管理するのも、なかなかたいへんであつた。普段の試飲會では飲むばかりだが、提供する苦勞を知ることができて、とてもよい經驗になつた。

 その中でお氣に入りとなつたのは、2007年産のシュロス・フォルラーツが造るリースリング種のシュペートレーゼ(遅摘)辛口。甘味を殘さず完全醗酵させてゐるが、見事な酸味とふくよかな厚みがあつて美味。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年11月 1日 (月)

ドイツワイン

 何だい又獨逸ワインの話かと、腐らずに聞いてやつて下さい。
 「何処で獨逸ワインが買へる」「何処で獨逸ワインが飲める」と訊かれ、答へに窮してしまつた。以前と違ひ、ワイン專門店と雖(イヘド)も棚の片隅に有ればめっけもので、市場から消えるとはかう云ふことなのか。賣つてゐる店、飲める店が非常に少ないことに今更乍ら氣附き愕然としたのだ。

 折角、獨逸ワインを飲まうと色々と探した擧げ句、六本木ヒルズの「フランツィスカーナ」を訪ねた。落ち着いて話がしたいと傳へると奧の個室を用意してくれたが、改めて畫像を見ると何だか怪しい(笑)。

Rw1 この店は獨逸直輸入の麦酒主體で小麦ビールの「ヴァイツェン」なんかがあり、南獨の雰圍氣だ。でも、直輸入のワインも數多く揃へてゐるので、ビールで乾杯後、お互ひに違ふ硝子杯ワインを頼み、白4種、赤2種、甘口2種を味はつた。個性の違ひがはっきりしてゐるものを頼み、ひとつひとつ丁寧に解説。硝子杯を並べて飲まないと、なかなか違ひを實感できないもの。冷製ハムの盛り合はせ、フォア・グラ、シュバイネハクセなど懐かしい獨逸料理も堪能できた。また、ワイン好きだとわかると、副支配人が毎回瓶を持つて來てくれたのが嬉しかった。
Schwein


| | コメント (2) | トラックバック (0)

« 2010年10月 | トップページ | 2010年12月 »