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2010年11月24日 (水)

俯瞰

Muza 以前はアムステルダム・コンセルトヘボウ管絃樂團と呼ばれてゐたが、現在は和蘭女王から王立を許されてロイヤル・コンセルトヘボウ管絃樂團となつてゐる。「ヘボ管」と略す奴も居るが…。こオケの何年か振りの來日公演へ行つた。その前に維納フィルの來日公演もあつたのだが、指揮者も曲目も變更となり、拂ひ戻したので、久し振りの外國オケのマーラーとなつた。然も、マーラー自身がコンセルトヘボウ管を始めて指揮したのと同じ交響曲第3番なので、期待も高まる。

 ミューザ川崎の4階中央に座ると、丸で天界から谷間の畑を俯瞰するやうだ。マリス・ヤンソンの指揮は、激情に走らず、オケをがっちり導き、現代のマーラーを浮かび上がらせる。この音は確かにコンセルトヘボウの音だ。アムステルダムのコンセルトヘボウ・ホールが眼の前に浮かぶ。それ位、ミューザの響きは同調してゐる。伯林フィルのやうに國際化が進み餘りに世界的技術集團に變はつたのに比べると、まだ歐州の一都市のオケの色が殘つてゐる。然も、結構トチルのが人間的かも知れない。

 この音の渦に身を潜めてゐると、近頃の雑事が浮かんでは消えて反芻するのだが、今此処の場に居合はせ、同じ感動を共有する喜び、この空氣の振動が心の震動を呼び起こす。生きてゐる証を感じる瞬間なのか。
 《指環》のエルダを得意とするアンナ・ラーソンのアルトは、深い大地から湧き上がるやうに、天界へ届く。軍樂隊から、葬送行進から、兒童合唱、女性合唱から、バンタ迄何でもありのマーラーの激しさに疲れたところに、第6樂章の〈アダージョ〉では豫定調和のやうにして、靜かに深く、濃厚な響きが神々しく鳴り渡り、終はりを迎へた。何んと素敵な體驗であつたことだらう。

Kawasaki 街は既に基督降誕祭の準備ができてゐた。


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