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2011年2月21日 (月)

知盛

 文樂東京公演、第三部は《義經千本櫻》から〈渡海屋・大物浦の段〉〈道行初音旅の段〉。この《千本櫻》では、いがみの権太が寿司桶を取り替へて平維盛(コレモリ)を助ける〈すしやの段〉、狐忠信の活躍する〈河連法眼館の段〉と並んで歌舞伎でもよく上演される物語。中學生の時であつたか、歌舞伎教室で知盛入水の場面を見て、偉く印象に殘つてゐる。

 義經に恨みを抱いたまま壇ノ浦で戰死んだ筈の平知盛(トモモリ)が實は生きてゐて、都落ちした義經に復讐を挑むと云ふ場面が渡海屋から大物浦の段となる。安德天皇を義經に預け、典侍(スケ)の局は自殺し、最期に岩の上から身體に縄を巻き附けた先の錨を沈め、入水自殺を圖るのだお。歌舞伎のやうに縄がスルスルスルッと滑り落ちるのと違ひ、齣送りのやうなゆったりとした動きを見るやうで哀れを誘ふ。

 もごもごした咲大夫の切り場(物語の頂點)なので、よく聞き取れないが好演。その後の踊りを主體とした〈道行〉では靜御前(簑助)と狐忠信(勘十郎)の息の合つた舞が吉野の櫻が咲き亂れる背景の中で美しく、津駒大夫と咲甫大夫の掛け合ひもよかった。勿論、三味線は人間國寶、寛治の冴へ渡つた導きで連れの若人が安心して合はせてゐた。錦吾くんも好演。上手になつた。
 

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