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2011年5月23日 (月)

光線

 江戸博に《五百羅漢》を觀に行く。狩野一信が100幅の羅漢を描いて芝増上寺に寄進したもの。通常まとめて見る機會などない非常に稀な企劃展示なだけでなく、山下裕二先生が監修してゐるので一般の展示よりも視點が違つてゐるだらうと、いそいそと出掛けた。

 正式には「阿羅漢(アラハン)」と云ふさうだが、羅漢とは佛教の「聖者」のことで、最初の佛典編輯に集まつた500人の弟子は「五百羅漢」として理想化された姿が多く描かれてゐる。特にこの狩野一信と作品は、最後の數幅を殘して没し、弟子が仕上げたやうだが、信仰と執念の感じられる極彩色でこれでもかと描かれてゐる。
 鬼や邪惡なものに對して、羅漢の持つ教典が発する光が、まるでスペシウム光線のやうに照射してゐるのが實の愉快。顔をめくると中から佛樣が出て來たり、自ら腹を明けると佛樣が居るなど、空想科學映畫のやうなのだ。當時、長崎からもたらされたであらう、最新の西洋繪畫の陰影を取り入れたり、自ら體驗した安政地震を基にした羅漢の救濟を描いてゐたり、微に入り細に入り、彩色も豐かなので目も眩むばかり。兎に角、凄いの一見價値がある。

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