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2011年6月23日 (木)

ラスト

 今期、新國最後の演目は《てふてふ夫人》。ご存知の通り、長崎を舞臺に没落氏族の娘、てふてふも15歳の藝妓から結婚斡旋人の云ふがままに結婚して、子供をこさえて3年も待ち續け、つひに裏切られたと知ると自害してしまふお話。うちの娘も14歳。震災で自分が死んでしまったらと考へると、空恐ろしい。全く他人事とは思へない。

 既に再演故、合唱や脇役人が慣れてゐて動きもよく、主役のてふてふさんを露西亞の新鋭、オルガ・グリャコヴァが通る聲で力強く、また儚げに演じ、和服の裾捌きも美しく、對する亞米利加海軍士官ピンカートンをセルビアのゾラン・トドロヴィッチが泥臭く演じた。こちらは抜けるやうなテナーではない爲、どうも蔭が伴ふ。米領事シャープレスを維納國立歌劇場で獨唱者を勤める甲斐栄次郎が演じたが、日系二世のやうな趣がよかつた。金持ちの求婚者ヤマドリ役を松本進が滯りなく深い聲で進め、始終動きまわる仲人のゴローには高橋淳が雰圍氣たっぷりと演じ、女中スズキを大林智子がそつなくこなし、完成度の高いものとなつた。

 最高の立役者は指揮者イヴ・アベル。俊敏樣式でテムポよく引っ張り、歌はせ、歌はせ、聲に合はせて揺らして引き締まった指揮をしてくれたお蔭だらう。終はりよければ、全てよし。

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