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2011年7月11日 (月)

土藏

Biwa0 淺草の土藏を備へたギャラリー・エフ鶴心さんの小實演(ミニライブ)「花一看」があつた。今回は鎮魂(レクイエム)を主題として《本能寺》が彈じられた。震災後、義援金や復舊復興と生者にばかり目をやつてゐるが、薩摩琵琶奏者として死者にも目を向け、弔ひの意味を込めて演奏したいと云ふ。

 師匠鶴田錦史による《本能寺》は戰後の作品であり、今我々の耳にする古典藝能は新しい奏法技術が活かされてゐるので、明治の頃とは違ふ。本來なら本能寺は幾度も火事に遭ひ、火を避ける爲、能の字の右側はヒ2つではなく、去を使ふと云ふのだ。

 また、この曲は派手な描冩がなく、淡々と語らねばならず、想像力に委ねられる難しい作品故、滅多に演奏されないらしい。師匠生誕100年の節目でもあり、震災鎮魂を兼ねて、今回は敢へて演奏すると意氣込みを語る鶴心さん。

 そこで今回は細かい解説も交へて、悲劇にも拘はらず明るい音調で始まり、大江山の鬼退治に擬へて主君の退治へ、淺瀬の桂川も恨み深い光秀の軍勢が本能寺に近附くと、信長は夢の中で人馬のもの音を聞き、火を放たれた館が紅蓮の炎で燃えさかる樣など、奏法を實演した後に、通して聽いた。日本人には勸善懲惡は似合はないのではないか、死者への鎮魂があり、生者の悲しみも語られる。

 暗い藏の中で演じられただけ、鼻先ぶつかるやうな距離感、演奏中の一體感は見事であつた。

Biwa 

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