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2011年8月 3日 (水)

市民階級

 指揮者ヴィルヘルム・フルトヴェングラーの祖父の時代まで遡り、市民階級(ブルジョワ)の家族の肖像を炙ぶり出してゐる。考古學者の父から天才作曲家として世に送り出されやうとして、見事に失敗し、却つて指揮者ではなく作曲家としての自分に拘つたヴィルヘルム。國家社會主義獨逸勞働者黨(ナチス)政権獲得から敗戰まで、一音樂家で濟まなくなり政治との折り合ひが必要であつた。若いカラヤンの追ひ落としにはあらゆる智惠を絞り、オーケストラの王として君臨する爲に矛盾する發言をしても本人は氣附きもしなかつた。ゲシュタポに追はれて戰爭末期に瑞西に亡命したが、ほんたうに追はれてゐたのか著者は疑問符を打つ。自分を正當化する爲の欺瞞も鮮やかに論証し、
獨逸教養主義の終焉を迎へる迄を描く。今までの傳記とは一味も二味も違ふのは家族の視點から描いてゐるからであらう。

フルトヴェングラー家の人々――あるドイツ人家族の歴史Bookフルトヴェングラー家の人々――あるドイツ人家族の歴史

著者:エバーハルト・シュトラウプ
販売元:岩波書店
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