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2011年11月 1日 (火)

名指揮者

 伯林フィルで指揮者フルトヴェングラーの薫陶を受けた演奏者はこぞって賛美するものの、カラヤン時代になつてから入團した人はフルトヴェングラーの良さを認めつつも、カラヤン賛美をする。最近讀んだ 川口マーン惠美 『証言・フルトヴェングラーかカラヤンか』 新潮選書 はなかなか面白かつた。引退した演奏者に面接取材をした記録なのだが、それぞれの思ひ入れが違ふ。また、同じ俎上に載せること自體が可笑しいと云ふ人もあり、どんな指揮者にでも合はせて最高の演奏をすればよいと言ひ放つ人もあり、それぞれ違ふのがいい。

 そして、伯林フィルの帳簿や演奏記録から迫つたミーシャ・アスター 『第三帝国のオーケストラ』 早川書房 では、フルトヴェングラーの今までとはまた違つた側面が見えて來る。ヒトラー政権が成立した1933年當時の伯林フィルは民間團體としては破産寸前で國家社會主義獨逸勞働者黨(ナチス)の援助なくしてはもう財政的に成り立たず、率先してフルトヴェングラーも関與したことや、國家の威信を背負ふ管絃樂團となつてからは、融通は利かないものの、多くの利便性を得て、團員たちは高い給與も貰ひ、戰上にも行かず、特権的な地位が約束され、演奏に邁進することができた。ナチス高官たちは、伯林フィルを獨逸音樂とナチスの海外普及に利用し、また國内に於いてはイベントの度に演奏させたことに改めて驚かされた。その上、戰後は1945年5月26日には、いち早く演奏會を再開。強(したた)かなマネージャーの手腕にも脱帽するが、帳簿の數値や統計資料から随分と解る事實があることも理解した。

 今月の來日は生憎行けないのだが、伯林フィルの過去を知らずして今は聽けない。



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 今月の週末は日比谷公會堂の公演も埋まつてをり、カフェは搬入口にも當たり、蓄音機コンサートは開けないとのこと。至極殘念。

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