イラストレーター
銀座一丁目に奥野ビルと云ふのが在る。昭和初期の趣のある建物で、此処の昇降機がまたいいのだ。歐州の古いアパルトマンのやうでいて味がある。伯爵が居るだけで雰圍氣に馴染んでゐると言はれる位、自分も心地いい。
その四階のふたつの畫廊で第二回『今、イラストレーターアートがおもしろい』展が開かれてゐた。アートソムリエの山本冬彦さんもお勸してゐたもの。
イラストレーターとして活躍中の若手作家が改めてオリヂナル作品に挑戰してをり、一室には高精密畫像印刷で、もう一室ではそれに手を加へてコラージュにしたり、描き下ろしのアナログ展示。ちやうど在室中であつたタカハシヒロユキさんが、PCソフトのイラレを使ひ乍ら制作中。いやあ、正直驚いた。世の中の雑誌の表紙や廣告に多くのコムピューター・グラフィックが使はれてゐるのは知つてゐるが、目の前でカチカチとクリックし乍ら繪を仕上げてゐるところを觀たのは初めてであり、衝撃でもあつた。かういふ風にして作つてゐるのかあ。
現代美人畫を描いてゐるのだが、自分の全く知らなかつた世界だけに、制作現場の冷めた熱氣が面白い。黙々と色を重ねる職人とでも云へばいいのだらうか。また、奇抜な格好に好感が持てた。矢張り、藝術家はかうでなくちゃ。人と同じではつまらない、一緒でないところがいい。實に愉快な展示であつた。
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コメント
お久しぶりです。
奥野ビル!以前の職場が京橋だった時に、仕事帰りにわざわざ見に行きました。内部も見学したかったのですが、あいているドアから様子を覗うのがやっとでした。個展を見に行けば、一石二鳥ですね。情報をありがとうございます。
大好きだった日比谷の三信ビルが取り壊しになった時は、とても残念でした…。
投稿: 夏 | 2012年3月26日 (月) 23時17分
夏さん、お久しぶりです。
中野画廊は確かに入り辛いですが、見に這入るだけでも何ら問題ありません。どこでも歓迎されますよ。是非、お出かけください。
投稿: gramophon | 2012年8月27日 (月) 18時56分