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2012年4月10日 (火)

薄暮

 アートソムリエの山本冬彦さんのお勸めと云ふか顔本記事を讀んで、近くだからと「安倍千尋展」を觀に、京橋のアートスペース羅針盤まで行つて來た。日没後の薄暮を描いた海と空と雲が一體化した混沌とした時間を刈り取り、近くで見るともやもやしてるのは印象派ぽいが、もっと微妙な色使ひが飽きない上に、却つて枠なしの作品から廣がりを感じる。瀬戸内の漁師の家にご厄介になり、毎日海を見てゐて描いたと云う。ど~んと襖繪も薄暮の海。溝口健二監督作品の中に引き込まれたやうな奧行きがある。

 併し、表装を習ひ出してから、つひ掛軸ばかりに目が行つて仕舞ふ。白い正絹の裂地に金襴緞子の筋枠が素敵。軸先は黒いざらついた陶器。龍安寺の石庭を思ひ浮かべたが、海だと云ふ。他の作品に比べると小さい畫面からじんわりとはみ出して行くゆるやかだが力強い氣迫が素晴らしい。作品を邪魔しないやうに、麻生地の白衣のやうな上着を着てらした作家本人は繪のやうに大人しい人であつた。

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