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2012年5月28日 (月)

阿古屋琴責め

 先週、文樂五月公演第二部を聽いた。名人揃ひの素晴らしい舞臺に久し振りに感動した。《傾城反魂香》より〈土佐将監閑居の段〉では、住大夫は吃音の主人公を餘りに上手に演じた爲、演技とは思へない位で吃驚。錦糸さんも撥を押さへ附けるやうに、詰まった彈き方をして表現に幅を持たせてゐる。女房おとくの文雀の夫を思ふ妻の悲しみをよく表現。

 《艶容女舞衣》より〈酒屋の段〉では嶋大夫の中の後、源大夫の聲も通り、「お園のくどき」が涙を誘ひ、簑助のお園が後家になつてしまふ上、主人半七と女藝人三勝の間にできた子供を預かる哀れがよく表現されてゐた。

 そして、大曲《壇浦兜軍記》より〈阿古屋琴責の段〉。DVDしか見たことがないので、平家の殘黨惡七兵衛景清の行方を捜す源氏方から、五条坂の遊女阿古屋が尋問される。堀川御所の守護代官、秩父庄司重忠は仁智に優れた人故、無闇に拷問にかけることをせず、琴、三味線、胡弓を彈かせ、弦の調べが素直で亂れもなく、真實を語つてゐると判段され、阿古屋は無罪放免となるのでした。
 阿古屋を勘十郎、左遣ひに一輔、足遣ひに勘次郎と三人とも顔を出しての人形遣ひ。津駒大夫の阿古屋は變なビブラートも掛からず哀れを誘ひ、寛治の三味線に合はせた、三曲(琴、三味線、胡弓)の寛太郎の藝の良さ、鍛錬の賜物。よくぞここまで稽古に励んだと云ふ技量を見せ附けられ、思はず唸るほど。

 大夫、三味線、人形遣ひ、それぞれの良さが存分に出た近年稀に見る素晴らしさであつた。

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