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2012年10月19日 (金)

ピーター・グライム

 歌劇の新季節となり、新演目として注目を浴びてゐたブリテン作曲、歌劇《ピーター・グライムズ》を觀た。20世紀のこの曲は1945年6月に初演され、ブリテン31歳の作品。曲想的には《ヴォツェック》のベルクと《不滅》のニールセンの丁度間くらいに位置し、無調に徹することなく、旋律らしきものもあり、所によつては聞き易い箇所もあつた。

 ヴィリー・デッカーの演出は閉塞的な村に於ける部外者と集團の對立と悲劇と云ふ根幹が、荒涼とした海とヒースしかなささうな草原の村に現れ、非常に現代的であつた。それは場所を移動させれば、日本のネット社會にも見られる普遍的な現象だからだらう。山崎浩太郎氏は「ブログが炎上した」やうだと表現してゐた通り、閉鎖された村社會の噂が正義となり、皆で部外者を排除したがる怖さとか、家庭内暴力とか、色々と考へさせられた。
 舞臺は久し振りに傾斜が附いてをり、奥行きを狭くして、左右から高い塀で覆つて暗く、正面の隙間には荒れた海が見えるので壓迫感が強い。そこに村人が大勢出て來るので、暑苦しく、息苦しい感じがよく描かれてゐた。 

 歌手の出來もよく、共同演出にも拘はらずでッカー本人が來日して指導したお陰か、合唱の動きもよく、東フィルの演奏もよく、久し振りに申し分のない演奏であつた。
 

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