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2012年12月 8日 (土)

惡巫山戯

 新國での歌劇《セヴィリアの理髪師》は、疾風樣式のカルロ・モンタナーロの指揮で輕快、洒脱なリズムで喜劇を盛り上げ、それに應へた東フィルもよく鳴つてゐた、但し、變化に豐んだ減り張りのある演奏かと云ふと、速度感だけで、詠唱をたっぷり歌はせて盛り上がッたり、

をしてくれた。併し何か物足りないと思つたら、一部アリアの省略があつたらしい。與り聽き込んでゐない爲、それが何か後で知つた。

 藝達者な上、聲の大きなダリボール・イェニスのフィガロ、肉感的なオクサーヌ・コンスタンティネスクのロジーナは演技も歌唱力も釣り合ひが取れてゐた。それに對してルシアノ・ボテリョのアルマヴィーヴァ伯爵はやや歌唱力不足。ロッシーニを歌ひこなしてゐないのか、聲量がないのか、聽き取れないところもあつたのが一寸殘念。併し、一番注目したのは巨漢のバルトロを演じたブルーノ・プラティコ。獨特な聲な上に喜劇のツボを押さへ、兎に角出て來るだけで樂しい。また、醫者らしいスーツの着こなし、外套に帽子と伊達男振りが素敵なのだ。きちんとしてゐるからこそ、喜劇の三枚目として活きて來る。

 全體的にはごちゃごちゃし過ぎ、兵隊が書類をばらまくなど、やり過ぎな感が否めない。度を超した惡巫山戯であり、喜劇に収まらなかったのはヨーゼフ・E・ケップリンガーの演出が稚拙なのだと思ふ。

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