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2013年4月24日 (水)

幻想

2013042217470000 久し振りに海外オケの演奏會。以前程行けないのは、金額の所爲もあるが時間の遣り繰りが巧く行かぬ故。
 さて、サントリーホールでのシュトゥットガルト放送響は佛蘭西人の若い指揮者、ステファヌ・ドゥネーヴの下、新時代の幕開けに相應しい名演奏であつた。オケピに入るやうな、第一提琴と第二提琴が對角に座り、右手奥にヴィオラ、左手奥にチェロ、そして最後尾横一列にコントラバスと云ふ、餘り馴染みのない配置が面白い。
 二階右翼のA席故、混在一體となつた音ではその効果の程は判斷はできないが、佛蘭西人が獨逸人オケを振るとがっちりとした骨格の明るい音色と云ふ結果、樂しいものとなつた。
 前プロのブラームスの提琴協奏曲は日本人若手の期待の星、三浦文彰の提琴。確かに上手ではあるが、感動するには至らない。オケもその後の《幻想交響曲》の爲に體力を温存してゐるのか、譜面通りの無難な仕上がり。

 主曲はベルリオーズの名曲《幻想》。ドゥネーヴは自家薬籠中の作品なのであらう、テムポ設定、刻むリズムも正確無比でがんがん引ッ張り、終樂章で爆發させるやうに盛り上げて終はるので、演奏者も聽衆も共に酔いしれて、爽快な幕引きとなる。木管のソロも怖ろしく上手な上に正確で、學生の頃に演奏したコルネットのパート譜を思ひ出した。その箇所はお休みで出番はないのだが、途中所々、奏者に息は合はせてしまふ。まだ、呼吸の記憶はあるやうだ。アンコールのビゼーの〈ファランドール〉も今にも踊り出しさうな勢ひに、完全にのまれてしまつた。血湧き肉躍る演奏は實に樂しい。誘つた後輩と共に昂奮覺めやらず、ワインを飲み交はして大いに語つた。

 惜しむらくは、客席が埋まつてゐなかつたこと。知られてゐない指揮者に對して鰾膠(ニベ)も無い。

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