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2013年6月28日 (金)

漱石と美術

 東京藝大美術館の「夏目漱石の美術世界展」も觀た。

 入場料大人1,500円に高いとは思つたが、小説に出てくる繪畫や彫刻、掛軸など丹念に拾ひ上げ、抜き出した文章と共に、その實物が見られると云ふ面白い企劃。學藝員もさぞかし力を入れたのであらう。

 英國留學の影響を色濃く残した、漱石の好みも解り、交際した畫家たちへの批評もどこか温かい。中には嫌ひだとか下手だとかずばり言ひ放つものもあるが、それは友達だから敢へて言ふ感じがした。また、橋口五葉作の初版本装丁下繪だとか、本人が描いた南畫など始めて觀る作品も多く、選んだ作品と云ひ、全體の量と云ひ、とても樂しかつた。

 唯一殘念なのが導線。1階入口から昇降機で最初に3階會場、それから地下2階の會場、そして出口は2階と變速的な上に、2臺しかない昇降機がごった返してしまふ。狭い會場をもッと有効利用できなかつたのか、何か他に解決策もあつたやうな氣がする。素晴らしい企劃展だけに、とても殘念。

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2013年6月27日 (木)

先生の先生

 自分の表装の先生の先生の作品を觀に東京都美術館の「2013 表装作品展」へ。此処は改装されて、大きく番號は振つてあるものの、上の階の會場入口へ行くのがとても解り辛い。

 東京表具經師内装文化協會主催で、全國の腕利きの表具師さんの仕立てた掛軸と屏風が並ぶ。矢張り、專門家は違ふなと思はせる技巧が凝らしてある。自分が手掛けるまでは、全く氣附くこともなかつたであらうが、細かい所が自分とは違ふのだ。作品に合はせて裂(キレ)を選ぶのは感覺の問題だから、たいして差はないが、歪まずに裂を裏打ちしたり、寸分の狂ひもなく柄を合はせるところに大きな差が出る。

 自分の技術の稚拙さを感じたが、次回挑戦したくなる技もあって、とても勉強になった。

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2013年6月26日 (水)

川獺畫廊

 某有名百貨店の美術部から獨立し、あの奧野ビルに空室が出て、いち早く押さえた上で退社したのだとか。並々ならぬ思ひ入れにも驚いたが、故郷愛媛の縣獸、川獺が獲物を川縁に並べる習性があり、これを獺祭と云ふらしく、作家、蒐集家、畫廊に繋がることから、「かわうそ畫廊」と名附けたと云ふ。

 開廊記念として、「山本冬彦のまなざし」と題し、若手の作家作品が所狭しと並ぶ。作品を見て、直ぐにどの作家か見討が附く人もゐるのは、山本さんのお蔭。顔本で紹介してゐた畫廊を随分と回つたので、自然と知り合つた作家も多いと、今更乍ら驚く。

 お祝ひにスパークリングワインをお持ちしたが、暑かったので直ぐに空けて、會場の皆さんに振る舞はれただけでなく、ソムリエの選んだ發泡酒だからと、質問も多く頂いたので、丁寧にワインの説明もできた。力ある作家がどんどん社會に認められて、巣立つて行つて欲しい。微力乍ら應援してゐる。

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2013年6月25日 (火)

扇面

 柴田悦子畫廊で開かれてゐた「万葉を描く日本畫展」を觀た。万葉集から作家が好きに一首選び、それを扇面に仕立てたものが中心で、元の和歌も作家自ら書いてゐる。既に觀たことのある作家の作品は一目見るだけで誰が描いたか解る位に個性が際立ち面白い。山田りえさんの作品は竹が生き生きとして清々しかつた。
 

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2013年6月24日 (月)

片附け

 要らなくなつた洋服はだいぶ処分して、後輩たちに使つて貰ふやうにしたが、本はなかなか捨てられない。資料として取つてをくつもりでも、暫く開いてゐないからとえいやっと古本屋へ回すと、たいてい、その後必要となる。だから、部屋の片附けがなかなか進まない。『斷捨離』には、やるのかやらないかの「まづ行動」だとあるので、取り敢へず始めてみたが、道程が遠い。

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2013年6月21日 (金)

陶藝

Tougei レス協の集まりで大船の九つ井さんへ。店に合ふ器がないと自分で窯を開いてしまつたと云ふ。體驗なので、今回は皿に挑戰。1箇月後が樂しみ。

 爐端料理も野趣に溢れ美味であつた。横濱在住の友人たちは皆知つてゐたのも驚いたが、素敵な繁盛店であつた。45年前にご主人が田圃を買ひ、元々連れ込み宿を造る筈が隣に住む教育長、町長、それに親に反對されて蕎麦屋を始めたのだと云ふから面白い。


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2013年6月20日 (木)

表装

Sikisi 個展までに二作品のつもりが間に合はなくなりつつある。本日、一作品の総裏打ちが終はつたものの、もう一作はまだ。あと、2回でどこまでできるか不安。

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2013年6月19日 (水)

個展のご案内

Poster ご案内もできました!


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2013年6月18日 (火)

世田谷文學館

 1963年6月15日に《上を向いて歩かう》が全米チャート第一位を獲得してから、丁度50年。世田谷文學館で開催中の『上を向いて歩かう展』へ行つて來た。

1961年に初演された當初そこそこヒットしたものの、九ちゃんの獨特な歌ひ方が氣に入られなかったのか、日本の歌謡界では評價されず、レコード大賞にも選ばれなかつた。しかし、翌年、英國で歌なしジャズ版のカバー曲が賣り出された時に《SUKIYAKI》となった。

 1963年に入り、加州、フレズノのラジオ曲で日本語のオリジナルを放送すると、心地よいサウンドと口ずさみ易いポップスとして、問ひ合はせが殺到することになる。日系人が多かったことも人氣に拍車をかけたのかも知れない。
東芝と提携してゐたキャピトル社がシングル盤を發賣するのに、米國人が知る數少ない日本語のひとつ《SUKIYAKI》として賣り出され、特別なプロモーションもないのに、瞬く間にゴールド・ディスクに認定されたのだ。

 展示では、副題に〈奇跡の歌から、希望の歌へ〉とあるやうに、當時としては、ジャンルに囚はれない新しい曲が生まれる、それまでの中村八大(作曲)、永六輔(作詞)、坂本九(歌)それぞれの生ひ立ちからの歩みが示され、世界中で今もカバーされ、歌ひ継がれる曲の良さを再認識させてくれる。そして、震災以降、希望の歌へと變はつたことまで丁寧に解説してあるので必見! 

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2013年6月17日 (月)

日經

 土曜日の日經、土曜版は讀んだでせうか?先日お手傳ひしたハムの試食、コメントして順位附けをした集計が記事になりました。日経プラス1、何でもランキング「食卓にぎわす ごちそうハム」をご覧下さいね。

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2013年6月14日 (金)

女は皆かうしたもの

 モオツァルトの歌劇《コジ・ファン・トゥッテ》を新國で觀る。舞臺をキャンプ場に移したダミアーノ・ミキエレットの演出も二回目となると、冷靜に見られた。最初は奇抜さに目を奪はれてしまひ、物語を追ふだけであつたが、今回は主役四人のアンサムブルもきちんと聽くことができた。

 イヴ・アベル指揮の東フィルはやや音が大きく歌が消える場面もあつたのが殘念。テムポはごく普通。直前に變更になつたフェランド役のパオロ・ファナーレは1982年生まれの若者で、優男か、上品な貴族役に嵌りさうであつた。これから經驗を積めば、まだまだ、伸びる氣もするが、頭の天邊から聲を出してゐる感じ。今回、一人で歌ふアリアはよいが、重唱となるとかなり消える爲、アンサムブル時に聲量を學んでもらひたいもの。

 歌手の中では、フィオルディリージ役のミア・パーションの聲が一番通り、一寸勝ち氣な長女をよく演じてゐた。そして、ドン・アルフォンソ役、マウリツィオ・ムラーロの低音がよく場面を締めてくれたので、全體としてはまずまずの合格であらうか。

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2013年6月13日 (木)

収録

976589_425856374179482_2006732048_o Beginnings主催の日本再發見プロジェクト「モノがたり」の一環で、音聲本(オーディオブック)の収録を行つた。「すき燒の秘密」と題して、40分位質問に答へる形で、肉食の歴史、牛肉に就いて、勿論、すき燒に就いて語つて來た。

 ユーミンも使用したと云ふマンゴスタジオで、見えない人に對して被らないやうに、然も放送禁止用語を交へず語るのは難しい。然も、え~、ん~、と途中に入り過ぎるきらひがあり、これは編輯してくれるのであらう。まだまだ、滑舌も惡く、聽き取り辛いかも知れないと反省することしきり。


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2013年6月12日 (水)

懇親會

980096_459811980770292_1188219616_o 空自聯合幹部會のお招きで椿山荘での懇親會へ。機関誌『翼』も發刊から既に35年、通算百號を迎へると云ふ。ツェッペリンの飛行船に就いて書いたのも、随分と前のこととなつたが、かうして毎回呼んで頂けるのが嬉しい。各界の著名人が多い中、自分も混ざる不思議。
 


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2013年6月11日 (火)

個展の準備

Ima 來月の個展準備に會場で打ち合はせ。表装教室に通つて早4年半。これまで制作して來た掛軸作品を展示します。このビルの4階が會場なのですが、大通りに面してゐても入口が横なので、解り辛いです。誰か見に來てくれるであらうか。

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2013年6月10日 (月)

助六

2013061011420000 やっと切符を手に入れて新しい歌舞伎座へ。前の建物の雰圍氣はそのままに、席幅も廣がり、ゆったりと座れ、柱も取れて見易くなり、廊下も心なしか廣がり、段差も減り、とてもよくなつた。二階へ上がるエスカレーターも年寄りには有り難いことであらう。

 第三部、夜の部後半は《助六由縁江戸櫻》は前のさやうなら公演で亡くなった團十郎と玉三郎の舞臺を觀ただけに、世代交代を期待して觀た。

 福助さんは顔の皺が氣になるものの、表情や聲色はピカ一で、能面のやうな玉三郎よりも人間的。そして、相變はらず、海老藏はくぐもって科白が聞こえないが、長身故に舞臺榮える。正に江戸の英雄らしさが滲み出る。併し乍ら、
この祝祭歌舞伎を支へるの脇役でもある。勘三郎のやうな華はないものの、「JJ」「今でしょ」と流行言葉を交へた三津五郎の通人里暁、若々しく爽やかな菊之助の福山かつぎ、熟達菊五郎の白酒賣新兵衛など、華やかな氣分が素晴らしい。
 併し乍ら、今回の河東節は素人臭い酷いものであつた。

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2013年6月 7日 (金)

挿繪

 昨日は「菅野由貴子展 ~物語の世界~」を觀に枝香庵へ。繪本の挿繪は制約が多いと、物語や詩などから受けた自分の心像を描いた作品の数々。子供向けだと輪郭をはっきりとか、場面説明にならないので、自由度が廣がると云ふ。その内に抽象畫も描きたいと云ふ。大人しいこの作家さんの中には創作意欲が漲つてゐるのであらう。

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2013年6月 6日 (木)

青年部

 レス協の主要役員も随分と年齢が上がり、將來を見据えて50歳以下の「青年部」を發足させようと云ふ話になつた。ふと、回りを見渡せば、自分がぎりぎりで最高齢40歳で、初代部長にさせられる。
 これから全國の加盟店に聲を掛け、豆に足を運んでくれさうな役員を選び出して組織を固め、9月に準備委員會、10月には案内送附、1月には初回會合と云ふ段取りだ。一年に滿たない役職とは云へ、まづは顔合はせだらう。

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2013年6月 5日 (水)

総會

 ここで愚痴は言ふまいと思つてゐたが、頭ごなしにしか發言できないお年寄りが氣の毒。初めて、こいつを呪詛してやらうかと思つた程。ああはなるまいて、反面教師としよう。打たれ強いつもりでゐたが、案外自分も脆いと自覺。
 岐阜県美濃加茂市に28歳の若い市長が誕生したが、かう年寄りが威張ッてゐてはろくなことがない。

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2013年6月 4日 (火)

提琴獨奏會

Operacity_hall 週末、初臺のオペラシティ・ホールで三浦文彰のヴァイオリン・リサイタルを聽いた。前半のドビュッシー、ラベルのソナタは技巧も確かで正確。だけど、佛蘭西のエスプリとか、茶目ッ氣がちっとも感じられず、非常に真面目な演奏なので、幾度か寝入つてしまつた。奏鳴曲(ソナタ)でもお客を樂しませて欲しいもの。

 後半、オリビエ・デュパンの新曲はポール・クローデルの詩集「百扇帖(エヴァンタイユ)」に曲を附けたと云ふ。この詩集には日本の富田渓仙、有嶋生馬による表意文字が描かれ、たいへんに美しく、それに触發されて、12樂章それぞれ詩に基づき、最初に日本語で詩が讀み上られてから、演奏と云ふとても珍しい世界初演であつた。描冩音樂ではないにしても、言葉の印象を想像し乍ら聽くのはとても刺戟的であつた。

 そして、主曲となつた《クロイツェル・ソナタ》が清々しくてよかった。ベートーヴェンのがっちりとした骨格そのままに、真正面から取り組む姿がよく、疾風のやうな最終樂章は勢ひに流されず、足元も確かに紡ぐ邊りに器を感じた。まだ、19歳なので、これからが樂しみだ。

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2013年6月 3日 (月)

ナブッコ

 ヴェルディの歌劇《ナブッコ》の新演出を新國で觀た。グラハム・ヴィックの演出はリンク先を見てくれれば解るが、かなりの際物。リンク先の動畫を見て貰へばわかるが、古代エルサレムのソロモンの神殿ではなく、高級店が並ひ、エスカレーターの在る明るいショッピングセンターに置き換へられ、ブランド信仰を嘲笑してゐる。しかも、攻めてバビロニア軍はテロリストなので單に薄汚く、バビロニアの宮殿や空中庭園と云ふ場面轉換もなく、物足りない。

 ところが、パオロ・カリニャーニ指揮の東フィルは俊敏様式の輕快なリズムで聽く者を飽きさせず、目を瞑つて聽いた方がいいくらいであつた。ルチオ・ガッロのナブッコはそつない出來だし、豫言者ザッカリーア役のコンスタンティン・ゴルニーもよく歌つてゐたが、アビガイッレ役のマリアンネ・コルネッティの聲量が抜きに出てをり、壓倒的に場を制壓してしまふのには驚いた。明るく透き通るイズマエーレ役の樋口達哉、か弱い乙女ではなく、意思をもった力強い王女フェネーナ役を好演した谷口 睦美など、日本人も活躍。演出さへよければ、素晴らしい舞臺となつたことは間違ひない。一體何を言ひたいのか、舞臺を見ただけで解らない演出はどうなものか疑問。

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