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2014年3月25日 (火)

飛沫

 枝香庵で「古賀勇人 寫眞展」を觀た。大きく打ち寄せる波の中に這入り込んで、その水飛沫(しぶき)の一瞬を捉へた作品群は偶然の一瞬の筈なのに、決まった構圖のやうにも見えるので吃驚。時には波に足を取られて苦勞どころか、命懸けの撮影だと云ふ。北斎の「神奈川沖波裏」のやうな波の泡でもあり、北斎にはそれが見えてゐたのかも知れない。
 空まで寫り込んでゐる作品はクールベの油繪「波」のやうでもあり、飛沫模様が日本畫のやうでもある不思議な世界。壁を覆ふ程大きく引き延ばした作品は、焦点が合ひ、ぶれずに迫力が出て、ほんたうに波打ち際にゐるやうな錯覚に陥り、息苦しくもなる。
 そして、左右対称、或ひはそれをまた天地對稍にした都會の寫眞は宇宙船の中であつたり、別の近未来の世界に見えて來る。やってることは單純な筈なのに、元の寫眞が違ふのであらう、切り取り方が違ふのであらう、迫力と云ひ説得力と云ひ、ぐいと迫ってくるのだ。偉いこと撮影する人が現れたものである。

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