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2014年4月23日 (水)

あはひ

 相變はらず本だけは讀み續けてゐる。安田 登 『あわいの力』 ミシマ社が面白い。

 古代には心がなかったと云ふ話から、文字を持つことで心が生まれ、子宮や腹で考へてゐたものが、頭へ上り、つひには行き先を失つてしまつたと云ふのだ。釈迦や基督はその心の縛りを解くことを説いたが、それ以降、誰も其れを超える人がゐない。成る程と思ふことも多く、無駄を教へて、心を豐かにしてゐないことや、今や異界もなくなり、想像力や見立てができなくなつてゐる。輪郭の曖昧なことは決して惡ではない。

 作者は能樂師のワキ。主役である異界からの人に對する、辛い目に遭った現實の人を専門に演じてゐると云ふ。 この本は實利だけを求め、無駄を廢し、心に囚はれ過ぎた現代人には清涼剤とならう。取ッ附き難かった能樂にも大分親しみを覺へた。

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