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2014年6月 3日 (火)

油の地獄

 五月の文樂公演第二部は《女殺油地獄》。しょうもない放蕩息子、河内屋與兵衛が金の無心から、殺人に至り、油壺が轉がり、油まみれとなって、滑って滑っても尚、包丁を振り回して豐嶋屋お吉を殺してしまふ物語。前の歌舞伎座で仁左右衛門が一世一代の舞臺が忘れられないが、人形では勘十郎の與兵衛の切れ味のある演技が秀逸なのだ。
 そんな酷い奴なら愛想を尽かされる筈なのに、きっとどこか憎めない次男坊なのであらう。遊女に入れあげるだけでなく、お金欲しさに殺人に至ってしまふ憐れさ、安易さに呆れるが、一歩間違へば、誰でもさう云ふことになりさうだと云ふのが恐怖なのだ。とてもよかった。

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