2009年10月29日 (木)

すき燒に合ふワイン

Tanakawine ワイン雑誌『ワイナート』の主筆であり、日本橋濱町ワインサロンを主催する田中克幸さんのワイン會がすき燒今朝で開かれた。は齒に衣着せぬ辛口論評で定評のある田中さんがどんなワインを合はせるのか興味津々であつた。以前から酒精強化ワインのシェリーやオロロソが合ふとおっしゃってゐたのだが、アルコール度數の高いこれらのワインは食中酒に向かない。最初から最後まで飲むには疲れてしまふだらう。

 まづ、すき燒に就いて、語源、日本人の肉食、牛鍋とすき燒の違ひ、日本の肉食の歴史、今朝の由來、すき燒の食材等ざっくり解説した後、すき燒とワインの絶妙な組み合はせを探る講義に入つた。すき燒のどこに注目してワインを合はせれば良いのか。和牛の脂、蛋白質、醤油、甘味と主たる成分を鑑み、味はひの廣がりに合はせなくてはならず、重心が揃はなければ反發してしまふとのこと。すき燒の丸く重い味はひには

 1. 2006 「シャトー・レキュイエール」    ポムロールの柔らかいメルロー
 2. 1995 「オルネライア」    熟成した伊太利のカベルネ・ソーヴィニヨン
 3. 1990 マルセル・ジュージュ 「コルナス」キュヴェC    熟成したシラー 
 4. 1998 ピエール・ダモワ 「シャムベルタン」   熟成したピノ・ノワール
 5. 2003 アルベール・ボクスラー 「アルザス・グランクリュ・ゾマーベルク ピノ・グリ」
 6. 1989 ジャン・ノエル・ガニャール 「バタール・モンラッシェ」 長期熟成シャルドネ
 7. 1995 アルヴァロ・パラシオス 「レミタス」 西班牙産グルナッシュ
 8. エル・マエストーソ・シエラ 「オロロソ」 西班牙の酒精強化ワイン

がよいと考へられ、ワイン用小型冷藏庫もお持ちになり、嚴かに試飲が始まる。ワインの説明が終はる頃に愈、すき燒〈竹〉だが、リブロース肉に腿肉のカメ、イチボ、シンシン、内モモと部位を比べ乍ら、玉子も附けずそのままであつたり、潜らせてみたり、一口食べては飲み比べ、幾通りも試してみた。

 1番は意外とタンニンが際立ち柔らかく感じず、逆に力強いのは一見柔に見える4番であり、ロース肉と玉子に負けない力を備へてゐた。
 ロース肉は脂身の甘みが強く、モモ肉は赤身が多い分牛肉らしく感じる中、意外と2番が貢献してどれにも合ひ、3番は椎茸に合ひ、燒豆腐と4番は合はず、5番は葡萄のべったりとした甘味が邪魔をし、6番は古酒のシャルドネにも拘はらず酸味が浮いて全く合はず、單體で飲んだ方がよかつた。7番は千住葱に合ひ、肉の味を引き立ててくれ、8番も確かに無難に合ふがアルコールが強くて疲れてしまふ。春菊の青臭さは強烈でどのワインよりも風味が勝ってしまつた。

 結論としては、最良のコンビはなく、それぞれ一長一短、熟成したブルゴーニュの赤が一番外れない。併し、誰もが註文できるやうな代物ではないのが痛いところ。ご飯、赤出汁、香の物をお出しして、最後に自分の秘藏してゐた2004年産新西蘭、アタランギの「ボトリティス・リースリング」を振る舞ひ終了した。大きく外れなくても、肉の部位よつて合つたり、合はなかつたり、野菜とはとんでもない組み合はせで口の中で驚いたり、とてもよい經驗となつた。    

Winart (ワイナート) 2009年 11月号 [雑誌]BookWinart (ワイナート) 2009年 11月号 [雑誌]


販売元:美術出版社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年6月 2日 (火)

評價

 現在、學藝員の資格を取る爲の通信講座を受けてゐますが、レポートを書く度に擔當教官から批評と共に採點されて歸へつて來ます。お陰樣で、今のところ不合格がなく、ホッとしてるものの、事後課題も書かねばなりません。これが結構たいへんで、休憩時間に積み上げた本を讀み、使へさうな箇所に附箋をし、人にわかるやうに書く作業は決して樂ではありませんが、努力が直接評價に反映されるのは嬉しいものです。

 さて、それはワインも同じで評論家が「良い」と太鼓判を押すと、突然流行り品薄になってしまひます。朋友、楠田浩之さんの造るピノ・ノワールは手鹽に掛けて造った素晴らしいもので、初ヴィンテージから飲んで應援してゐます。「世界一のピノ・ノワール」造りを目指して脱サラする前からの知り合ひですが、今回、英國の葡萄酒記者(ワイン・ジャーナリスト)のジャンシス・ロビンソンに、『ファイナンシャル・タイムズ紙』の論評(コラム)で取り上げられました。

 ロビンソンは「マスター・オブ・ワイン」と云ふワイン業界でも最も権威のある資格を有する批評家です。この資格は英語故か、日本人で持ってゐる人は居ません。堀賢一さんが幾度か受けたとワイン雑誌『ウォンズ』に書いてゐましたが、ワイン試飲問題は母国語で答えて良いのですが、どうもいい加減な學生がアルバイトで翻譯するらしく、詳しく解答する程駄目なやうだと嘆いてゐました。
 孰れにしても、英語圏では非常に権威のあるものですから、さう云ふ人から評價を得られたのは嬉しい限りです。弊社、すき燒「今朝」でも飲めますよ!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年3月30日 (月)

レトロ

Wine この間、お隣の汐留シティーセンター42階で試飲會がありました。英國産ワインが入つてゐたり、那須鹽原で1882(明治15)年からワイン造りをされてゐる「渡邉葡萄園醸造」はナイアガラ種の甘口や、マスカット・ベリーA種を使ったり、歐州品種のものもありました。味はひもさること乍ら、右から讀む漢字のラベルが素敵です。2006年産のマスカット・ベリーA種は前年産よりも酸は強いものの、厚みもあり、鼻を突くやうな果實香はなく落ち着いてゐるので氣に入りました。もしかすると、リストに載せるかも知れません。
 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年2月12日 (木)

すきや連

Wa 火曜日の第一回《すきや連》は無事終了。北は仙臺、米澤から、西は神戸のすき燒屋11軒の主人、山梨の葡萄酒醸造所ご主人や廣嶋の牡蠣や海苔業者まで、総勢50名きっかり!集まり大賑はひでした。

 出迎へる主人として正装しましたが、立ったり座ったり、ワインを注ぎ、料理を運び、説明をし、名刺を交換したり、忙しいことこの上なく、膝が痛い。説明不足の點やら、反省點も多々ありましたが、兎に角終はつてよかつたです。京樂師匠、《ちんや》のご主人、向笠千惠子さん(食品記者)、受附を手傳つてくれた裏方を始め、從業員一同の見事な働きにより無事に濟み、關係者皆樣にこの場を借りて御禮申し上ます。

 戰前には「今」の附くすき燒屋の集まりがあつたと聞きますが、それ以來の同業者の集まりかも知れません。向笠さん曰く「すきに燒くのが〈すき燒〉」ださうですから、各店違ふやり方でも、同じすき燒屋同士、よい點は見習ひ、切磋琢磨できれば嬉しいです。

 次回は七夕に合はせて、淺草の《今半》さんだと云ふので麻の着物にするか、背廣にするか、迷ひます。
 

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009年1月28日 (水)

饗宴

 「饗宴は外交の重要な道具立て」とは西川惠の言葉。『エリゼ宮の食卓』新潮社 で佛蘭西政府は食事を共にすることが如何に大事な外交であるか鮮やかに描き出してゐましたが、今度は『ワインと外交』と云ふ新書が出ました。

 表向きの言葉よりも、食卓の料理内容やワインの品揃へを見れば、相手の扱ひが一目瞭然なのですね。自宅にワイン好きの友達を招いたとしても、何を一緒に飲むか、いつも頭を惱ませます。決して相手を輕んじてゐる譯でもないけれど、妙に輕快なワインでもいけないし、だからと言つて、料理に合はない矢鱈と重い高價な赤ワインでもいけません。まあ、料理に合ふことは前提ですが、結局、自分がその時に飲みたいものに決まります。これが國同士の卓ならば神繼質にならざるを得ないことは容易に察すことができます。

 「天皇の料理番」として名高い秋山德藏も著作の中で(どの本であつたかは失念)、戰前にエドワード八世(後のウィンザー公)や戰中に滿洲皇帝、愛新覺羅 溥儀(ラスト・エムペラー)が來日した際は饗宴の準備がたいへんであつたと書き殘してゐますから、西川も同じ氣持ちを料理人から感じたことでせう。

 蜜月を演出する爲、また對立を和解する爲、あらゆる場面に外せない食事。一時であらうとも一緒に生活すると、非常に親近感を得ますし、その親しい仲を「同じ釜の飯を食ふ」と云ひますね。ですから、相手がきちんと箸が持てなかったり、ズルズルと羮(スープ)をすする姿を見せられるとがっかりします。

 和蘭女王が見せた心遣ひ、外交儀禮(プロトコル)に拘る中國、靖國神社參拝問題を重要視してゐた韓國の意味深長な輕い食事等々、外交の舞臺裏と云ふか、食事が外交の表舞臺になりうることがよくわかる良書でした。

ワインと外交 (新潮新書)Bookワインと外交 (新潮新書)


著者:西川 恵

販売元:新潮社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

味―天皇の料理番が語る昭和 (中公文庫BIBLIO)Book味―天皇の料理番が語る昭和 (中公文庫BIBLIO)


著者:秋山 徳蔵

販売元:中央公論新社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

舌―天皇の料理番が語る奇食珍味 (中公文庫)Book舌―天皇の料理番が語る奇食珍味 (中公文庫)


著者:秋山 徳蔵

販売元:中央公論新社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年12月 9日 (火)

22社

Asayashiin 珍しく新宿のハイアット・リージェンシー・ホテルで試飲會が催されました。山梨縣ワイン酒造協同組合主催により縣内醸造所22軒が堂々集まつたものです。メルシャン、サッポロ、サントリーのやうな大手企業は勿論のこと、小さな藏まで〈甲州〉種だけでも、シュール・リー、樽、甘口と色々ありますから、造り手の個性がはっきり判り樂しい會でした。赤は果實味たっぷりの〈マスカット・ベリーA〉や〈ブラック・クイーン〉のやうな日本の交配品種だけでなく、〈カベルネ・ソーヴィニヨン〉〈メルロー〉〈シラー〉なんてものも、結構タンニンの澁味や濃さの上に複雑味もあり、期待のもてるものも多數ありました。

 幾つか氣に入つたものだけアイウエオ順にご紹介。

 「麻屋葡萄酒」は雨宮さんにも會へ、自慢の2006年産〈シャルドネ〉が樽醗酵、樽貯藏のまろやかを秘めて美味。

 勝沼町ではなく、まだ足を伸ばしたことのない北杜市の「江井ヶ嶋酒造」。07年産シャルマン〈甲州〉シュール・リー 無濾過は、爽やかさが抜きに出てゐて、青林檎、パイナップルの香りが強く、酸味のしっかりした味はひ。

 篆刻のやうなラベルに凝ってる割に違ひが判り難い「勝沼醸造」の06年産〈甲州〉古傳樽熟は、樽醗酵後、シュール・リーにしたもので、厚みもあり、ぼってりした感じが素敵。

 一升瓶ワインの印象が強い「サドヤ」は20年前と何ら變はらぬ昔乍らの味はひが逆に新鮮。地元受けする筈の晩酌ワイン。

 勝沼葡萄郷驛から坂を下つた所に在るどでかい「シャトー勝沼」の06年産〈甲州〉晩秋仕込みがほんのりとした甘味が心地よい。

 初めて名前を聞いた「スズラン酒造」の07年産〈シェンブルガー〉は獨逸系品種らしい、交配品種なのでせうが知らなんだ。ライチのやうな香りもあり、優しい甘味としっかりとした酸味があり、氣樂に飲むタイプ。

 以前、綺麗に改装されてすぐ訪ねたことのある「蒼龍葡萄酒」の06年産プレミアム〈甲州〉は厚みが違ふと思ひきや、冷凍濃縮果汁を低温醗酵させたものだと云ふ。かう云ふのもありでせう。

 ロンゲの若い醸造家の居る「ダイヤモンド酒造」の07年産シャンテAひしやま〈甲州〉はなかなかの出來。

 「山梨マルスワイナリー」では顔を見るなり、こっそり微發泡のペティヤンを出してくれました。これがまた、泡立ちは細かくはないもののメチャ辛口で吃驚。

 「丸藤葡萄酒工業」のルバイヤートは一番古くから親しんでゐる爲、よく知つてゐる所爲もあり何かホッとします。07年産〈甲州〉シュール・リーはバランスが定評通り今回でも一番よく、06年産〈シャルドネ〉舊屋敷畑収穫は、自分が世話した頃に比べたら格段に美味しくなり、07年産〈マスカット・ベリーA〉樽貯藏は品種らしさがあるだけでなく適度な飲み應へもあり、05年産ドメーヌ・ルバイヤートは混醸ものでまだ若くて開いてをらず硬いのですが、將來性があります。

 「メルシャン勝沼ワイナリー」の07年〈甲州〉グリ・ド・グリは以前の野性味より、上品さがでて、飲み疲れせずに料理に合はせられる優れもの。矢張り、これは好みの第一等。

 「大和葡萄酒」は個性的な藏元がワインを注ぐ際、必ず硝子杯を受け取つて一杯づつ入れてゐました。普通は、お客さんが持つてゐる硝子杯に注ぐだけなのですがねえ。ワインもなかなかでした。

 木造の仕舞屋(シモタヤ)の母屋座敷が綺麗な「山梨ワイン」の07年産フォーシンズンス〈甲州〉は大人しい味はひ。

他にも素晴らしいワインが目白押しであつたことは云ふまでもありません。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年11月17日 (月)

試飲

Testg1 春と秋にだいたいワインの試飲會が集中して、重なります。葡萄酒醸造家自ら、藏の説明や講義(セミナー)を行ふことも多く、できるだけ參加するやうにしてゐます。併し、ランチが忙しく、そのまま來客が續いて店を空けられで逃してしまふことも。主催者さんすみません。惡氣はないのですが、身體が空きません。

Testng2

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年9月 9日 (火)

葡萄畑

Proshwitz シュロス・プロシュヴィツ醸造所へは日本から直接メールで豫約を入れただけでなく、取引のある輸入元からも連絡を入れて戴いたので、役員自ら案内をしてくれました。勿論、日本から手土産を持つて行つたのは云ふまでもありません。最初に事務所に通され、旅の目的なんか聞かれるから、MotoGPの獨逸GPへ行った話をすると、全員が話に乘って來るので吃驚。誰でも知る内燃機關運動(モータースポーツ)であつたのですね、日本とは大違ひです。

 そして、(うちの家族には必要ありませんでしたが)醸造所の現況や、對日輸出に就いて詳しい説明があり、設備の見學、最近始めた宿泊所(ペンジオン)では次回お泊まり下さいと勸められ、今度始めるレストランの現場まで見せて戴いた後、母屋とも云ふべき18世紀に建てられ、現在修復中の城へ車で移動し、そして畑を案内してくれました。

 畑では丁度お晝時で農作業を終へた人々が解散するところでした。そこには何とご當主自ら農作業を指導してゐました。Dr. Georg Prinz zur Lippe、貴族ですからプリンツ・ツア・リッペと云ふ稱號が附いてゐます。直譯すると「唇王子」になつてしまひますが、葡萄酒醸造家に相應しい名前です。東西統一後、莫大な金額を拂つて畑に醸造所、それに城を一族で買ひ取つたと云ふのです。それで急に近頃名前が賣れて來た由來が判りました。荒廢した畑を直し、廢屋同然であつた醸造所を修理し、現在は城の修復と云ふやうに順繰りに直してゐる最中ですが、既にワインは評判を得て賣り切れ續出なのは素晴らしいことです。

 ご挨拶したら、お世辭でせうが私の獨逸語を褒めてくれた爲、20年前に働いてゐたと話すと「えっ、こんなに小さい頃から?」とぐっと手の平を膝まで落として云ふので泣き笑ひ。冗談でも背丈の低いのを氣にしてるのに、一本取られました。「今度、うちのレストランですき焼特集をやりませう」とのご提案も。和牛や白髪葱、白瀧が手に入らない場所では難しいなあと思ふ反面、面白さうだとにこやかに相鎚ちを打ちました。

 それから試飲所に戻り、地元のチーズを食べ乍ら10種以上のんびり晝食を兼ねて試飲です。乾いた空氣の中では何を戴いても美味しく、吐器に流すのは勿體なくて珍しく全部飲んでしまひました。かう云ふ時に嫌な顔しないで運轉してくれるかみさんにも感謝して、欲しいと云ふ自家製バルサミコ酢と甘口ワインを買ひました。

| | コメント (0)

2008年9月 8日 (月)

葡萄果汁

Saft 7月にザクセンへ行った時に、マイセン郊外に在る葡萄酒醸造所を一軒訪ねました。最近めきめき力を附けて來た「シュロス・プロシュヴィツ醸造所」です。9時半の約束でしたが、案外道路も空いてゐたので早めに到着したら、どうぞお這入り下さいと試飲所に招き入れてくれました。

 レース場での雨模様から一轉、夏の日差しが強く喉が渇いてゐた爲、大人には歡迎のゼクト(發泡酒)、子供には葡萄果汁(ぶだうジュース)を振る舞つてくれました。日本の醸造所に置いてある葡萄果汁はその多くが濃縮還元の輸入果汁なのですが、此処ではきちんと自社で絞ったものです。爽やかな酸味とコクのある甘味が疲れを癒してくれます。日本だとどうしても、収穫された葡萄は全部ワインにしたいのでせう。獨逸もそれは同じですが、子供が飲むだけでなく、そのままワイン酢の代はりに料理に使ふ人もゐる位旨いのです。ワインの醗酵前まで同じ行程となる除茎や壓搾作業がある爲、本格的な収穫を前に試し運轉で機械を動かすのだとも聞いたことがあります。丹念に造るのはワインと同じですから、1本800圓近くしますが、それだけの價値のある味はひでした。これは凄いと重いのに1本購入しました。

| | コメント (0)

2008年9月 5日 (金)

シュール・リー

Surlie ロワール河河口附近のナント近郊産の白ワイン「ミュスカデ・エ・メーヌ シュール・リー」は、酸味だけの單調な味はひを補ふべく、醗酵後も澱の上(シュール・リー)に寝かせて味はひに深みを持たせ、春先再醗酵し始める前に瓶詰めにする方法を採用してゐます。それを80年代後半、まだ甘口ワイン主流の日本で〈甲州〉に應用し辛口仕立てで、世に問ふたのがメルシャンの現在の「勝沼甲州」です。

 勝沼地區全體の底上げを狙ひ、醸造技術を開放してゐるメルシャンですから、近隣の醸造所も真似をして切磋琢磨した結果、どの藏でも普通に行ふやうになつてゐます。その上、今では〈甲州〉シュール・リーと云へば、ルバイヤートと云はれる位丸藤葡萄酒さんのワインが有名になりました。
大手さんが必死に魅力を探るべく分析調査をしてると云ふ噂もある位、飲み應へもする、きりりとした酸味の辛口ワインです。現社長んとは、17年位前に知り合ひ、訪ねる度に單刀直入に感想を述べ、日本のワインのあり方を一緒に惱み、向上を願ひ、毎年の仕上がりを樂しみにしてゐます。

 我が家の定番として、お客さんが來た時だけでなく、勿論、すき焼「今朝」にも置いてゐます。前菜や新涼造り(冷たいしゃぶしゃぶ)にも負けない味はひ、案外、しゃぶしゃぶにも合ひますね。〈甲州〉は日本で唯一のワイン用葡萄品種ですが、まだまだ魅力に溢れ、可能性があります。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年9月 4日 (木)

勝沼のフレンチ

Sep1Sep2 「山梨縣人は食べ物に興味がない」と醸造所へ行く度に聞かされ、「今朝さんお店やらない?」なんて冗談も。噂では聞いてゐた驛近くの佛蘭西家庭料理屋のセパージュへ初めて行きました。
 一軒家を改装した店は窓から甲府盆地が見渡せ、こぢんまりとした造りです。晝食時は1,800圓の定食だけですが、前菜一品の後、主菜の魚か肉か選べ、天然酵母パンに食後の飲み物が附き、お好みで羮(スープ)やデザートを追加することもできます。小さな子を連れた家族や女性客が目立ちます。

 西班牙風オムレツの後、主菜に甲州豚の煮込みを選びましたが、どちらも輕くするッと入り、また來たくなる味はひです。基礎のきちんとした調理人が仕上げた真面目な味はひです。但し、臨時雇ひなのでせう、給仕の女性は餘裕がなく、お皿を下げるのに卓子の上でフォークとナイフを縱に揃へてるのには吃驚。できたら持ち上げて、腕の上でフォークとナイフを落ちないやうに×印に重ねて欲しいもの。そして3枚持つてくれたらもっとよかったかも。田舎故文句は言ふまいって、此処で書いちゃいましたが…。今後に期待します。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年8月29日 (金)

麻屋ワイン

A1 勝沼には、まだまだ訪ねたことのない葡萄酒醸造所が在ります。今回、試飲會で顔見知りになつた雨宮一樹さんを訪ねて、麻屋ワインへ。日曜日は基本的にお休みなのにわざわざ見せてくれました。

 裏の試驗農場には棚式で他品種が植ゑられ、葡萄の様子が判ります。整理整頓された醸造器具、温度管理のされた室内に置かれた大小様々な醗酵用や貯藏用の琺瑯タンク、數はなくとも存在感たっぷりの木樽たち、地下の瓶貯藏庫は時折水が出ると云ふ地下3米の立派なもの。聞けば、ワイン50種を仕込む中規模醸造所でした。
葡萄房を引き取り、「一人5屯仕込み」だなんてことも最盛期にはあるのだとか。
 貯蔵庫上の試飲及び販賣所は細長く、綺麗に改装され(窓から葡萄棚が見え)、雰圍氣を盛り上げてくれます。然も、天然酵母パンも出して戴き、2時間15種を飲み比べしました。

 若い醸造責任者である雨宮さん自らの説明ですから、収穫時期、酵母の選擇、醸しの時間、古樽の利用等こと細かに熱い思ひを語つてくれます。かなり主觀的な感想ですが…

 2007年産〈甲州〉シュール・リー: 柑橘系酵母を利用したと云ふだけあつて、おとなしい香りでも酸味のしっかりとした輕やかな味はひ。スポーツマンの雨宮さんの雰圍氣が出た爽やかさがあり。

 06年産 限定〈甲州〉: 頑固な葡萄農家一軒の甲州種を遅摘みし、昔からある酵母で仕上げ、やや色も濃く、凝縮感のある味はひに成功。存在感のある〈甲州〉!

 06年産〈甲州〉樽醗酵: まだ試行錯誤の状態で、樽毎に違ふ酵母を試し、よいものを翌年選んで使つて行く段階。石油系の接着剤のやうな揮發臭、酸味もしっかりとして、僅かに木樽の雰圍氣が殘る優しい味はひ。

 06年産〈甲斐ブラン〉: 甲州種とピノ・ブラン種を掛け合はせて山梨で造られた品種。皮は薄いと云ふ。白ワインとして全く飲み飽きしない味はひが嬉しい。

 05年産〈シャルドネ〉: 香りはおとなしいものの品があり、まろやかな酸味、ふくよかさがあり、口の中で廣がる力強さが素晴らしい。メルシャンの「北信〈シャルドネ〉」のやうな究極の上品さはないものの、食事に合はせたくなる樂しみなワイン。

 05年産〈カベルネ〉ロゼ: 玉葱皮色した辛口。シュール・リーをした爲か、見た目よりコクがあり、澁い、通好みの味はひ。

 06年産〈カベルネ〉ロゼ: 一年若いだけでなく、鮮やかな色合ひに、華やかさを持たせた味はひ。豚肉料理、冷しゃぶ、トンカツにも合ひさう。

 06年産〈マスカット・ベリーA〉: 遅摘みにして香りが一番出た完熟した〈マスカット・ベリーA〉を使ふことにより、鼈甲飴のやうな甘い香りを最大限に引き出した味はひ。赤紫色で、決して甘くはないものの米國産古オーク樽に寝かせ、角の取れた飲み易さがあり。焼き肉やバーベキュー等氣樂に野外で味はひたい。

 03年産〈甲斐ノワール〉: 冷夏の年故、色附きが難しかつたと云ふ。酸味の強い品種故、その酸味をどのやうにするかで造り手の腕が見える。加齢による落ち着きがある。生ハムやサラミが食べたくなる。

 05年産〈甲斐ノワール〉: 優しい酸味が氣にいり、すき焼「今朝」のワインリストに載せてゐるもの。葡萄の軸裏迄色附き、種まで香ばしい完熟した葡萄果を使ひ、3週間の果皮接触(スキン・コンタクト)により色も濃く、米産オーク古樽で寝かせ、ほのぼのた優しい味はひに。料理を邪魔しない、それでいて主張もあるまろやかな飲み心地が素敵です。

 04年産〈メルロー〉: 山梨市の自社畑で棚栽培。樽熟も加はり、インクのやうな濃い色調、滑らか味はひは豪洲産のビフテキにも合ふでせう。

 05年産〈カベルネ・ソーヴィニヨン〉: 樽熟成、瓶熟成が加はり、カベルネらしい味はひ。和牛ステーキにはこちらの方が合ひさう。

 06年産〈カベルネ・ソーヴィニヨン〉: 瓶詰めしたばかりの若さの溢れた赤ワイン。色の出が難しい年であつたと云ふ割に、青紫色も濃く、酸味、澁味も口の中で暴れ、お轉婆娘な感じ。少し寝かせれば、綺麗なお嬢さんになること間違ひなし。

 07年産「生き生き山梨」白: 甘口〈甲州〉が、長い試飲の後にほッとさせてくれました。食前酒として、會席の前にでも戴きたいもの。和みの甘口と酸味の調和。

 07年産「生き生き山梨」ロゼ: 〈マスカット・ベリーA〉の甘い香りそのままに飲み易い味はひ。ワインは辛口だけではなく、かうした甘口も必要。

 機會があれば、積極的に利用したいワインばかりでした。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2008年8月28日 (木)

ゴージャスな夕食

83 子供の居ない時のたまの夫婦だけの贅澤故、石和温泉へ。日本交通公社(JTB)への申し込みが遅く、廣い部屋しかないと云ふことでしたが、櫻並木沿ひのホテル八田へ行くと、本館6階角部屋の次の間附の最上の部屋でした(夕暮れの眺め)。何でもテレビ撮影にもよく使はれるのだとか。昔はカピカピに乾いた刺身が出たなんて話も聞きましたが、それから反省したのでせうか、噂のワイン風呂、石和一廣い露天風呂もよく、從業員の對應も氣持ちよく、旅の疲れが取れました。建物、設備は改装してから、やや時間が達つのか、やや殘念なところもなきにしもあらずですが、全體としてはよかったです。

8182 旅館は一泊二食附ですから、どんな料理かと期待してゐたら、文字通り山海の珍味が並ぶ贅澤なもの。山梨名物の「餺飩(ハクタク:訛って今はほうとうと云ひます)」が鍋料理で選擇でき、「煮貝」は勿論、甲州牛フィレのステーキや伊勢海老のサラダまで附くとやり過ぎな氣も。驚いたのは、もう「松茸」が食べられたこと。自分で焼いて食べるなんで贅澤は何年もしてゐないどころか、したことないかも知れません。

 我々は一緒に行つた從業員と四人、部屋で夕食でしたが、朝食は食堂でブフェなのでこの落差が殘念。ビニールシートを敷いた会議用机が並び、合宿の學生さんの大食ひは見て居て嫌ではありませんが、落ち着きはしません。料理内容は和洋揃ひ、普通のホテルと遜色はありませんが、夕食がゴージャスであつただけに、できたら部屋で食べたかったですねえ。人件費や設備投資のたいへんさがわかる飲食店經營者として、決して偉さうなことは言へませんが、のんびりした朝食を望む者には、せめて衝立で囲むだけでも違つたのではないかと思つてしまひました。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008年8月27日 (水)

下草

Kizan 今回は車ではなく電車で行った爲、タクシーで移動です。鹽山の〈機山ワイン〉は毎年必ず寄る醸造所です。何時行っても、ホッとする肩肘張らないワインの造り手です。自宅での夕食にぴったりのワインばかりですが、ご夫婦二人の手造り故、賣切れ續出で買へないことも屡々です。クセがなく飲みやすい〈白〉、夕食のお供にぴったりな〈ファミリー・リザーヴ〉は我が家のお氣に入りで、〈スパークリングワイン〉はすき焼「今朝」でも常時置いてゐます。お祝ひの席に是非、お召し上がり戴きたい發泡酒です。小さな醸造所でも、寝酒には〈マール〉、お菓子には〈ブランデー〉と食前酒から食後酒まで全て揃ふのも立派です。

 裏の畑にはメルロー、カベルネ・ソーヴィニヨン、シャルドネが植ゑられてゐますが、マンズの雨避けが掛かり、垣根の葡萄房には雨が附きません。然も、害蟲防止に多量の農藥を撒かないので、畝の間には下草が生い茂ってゐます。只でさへ榮養分の多い日本の土壌では、やや痩せさせる爲の工夫でもあります。裾は濡れましたが、収穫前の畑の様子が判るのは有り難いことです。

 ご夫妻のワインに對する思ひの一杯詰まった味はひは、料理の邪魔をせず、杯が進むごとに自然と笑顔になり、團欒の一時となることでせう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年8月26日 (火)

テラスでの晝食

Mlunch メルシャン勝沼ワイナリーでは、昨年より工場内で輕く食事のできるテラスが設けられました(屋根下ですが)。昨年戴いた時は正直ファミレスよりも劣る、とてつもない料理でしたが、今年から委託先が變はり、一人の調理人が註文を受けてから作るので多少時間は掛かりますが、旨かつたです。畫像は鶏肉のトマト煮込みとクスクス、それに甲州牛のローストビーフ・サンド。然も、有料試飲のグラスワインを買つて、此処で飲むこともでき、そのグラスは一人一個なら、持ち歸へることもできます。

 その日試飲したものは…
 2007年産勝沼〈甲州〉(シュール・リー): 爽やかな香り、酵母の香り、ミネラル分が強く、少し氣泡あり、僅かに皮の苦味もある綺麗な造り、食前に

 06年産〈甲州〉グリ・ド・グリ: どこかでロゼだと云はれたらしい。灰色の葡萄果の色が出て、シュール・リーよりも香りも強く、コクさへも感じさせる飲み應へ。和食なら最初から最後まで通しでよいでせう。

 06年産〈甲州〉きいろ香: 収穫を早めただけに清々しい青々さ、華やかな香り、清涼感のある味はひ。鮎の鹽焼き、鱧の湯引き、繊細な和食にも合ひさう。
 
 06年産北信〈シャルドネ〉プライヴェート・リザーヴ: 何とも上品な味はひ!優しい酸味、どんな相手にも對應できさうな包容力がある。以前、焼牡蠣に合はせたことを思ひ出す。

 04年産山梨〈ベリーA〉: 品種獨特の鼻を突くファンタ・グレープの香りや苺ミルクの香りがなく、加齢による落ち着きがある、ややインクのやうな香りも。肉料理全般に合ひさうな優雅ささへある。

 06年産長野〈メルロー〉: まだ若若しい、胡椒のやうな香辛料の香り、枝や茎ぽい、やんちゃな味はひ、瓶内熟成を期待するも育ちの良さを感じさせる、ステーキのやうな重い赤い肉を焼いたものに合ひさう。

 01年産桔梗ヶ原メルロー シグネチュア: まるで清酒の大吟醸のやうに完成された味はひ。全てに於いて釣り合ひの取れた味はひは調和を感じさせる丸い品がある。氣持ちを和らげる和みがある。

 吸収合併され、更に良さが増したのでせう。さすが日本一の生産量を誇るだけでなく、品質も最上級のものばかりでした。

| | コメント (2) | トラックバック (2)

2008年8月25日 (月)

雨避け

Mhatake この週末ぐず附いた天氣の中、山梨へ。最初に出掛けたのは、メルシャン勝沼ワイナリー。佛蘭西から戻つた醸造家の案内で、「城の平」實驗農場へ。大善寺の反對側、中央高速を渡り、随分と高い丘の上に畑は在ります。此処へは1990(平成2 )年にワイン學校の修學旅行で來てから、度々訪れてゐる畑ですが、少しづつ變はつてゐるのが分かります。最先端の技術を取り入れ乍らも、より良い葡萄を収穫して素晴らしいワインを造らうと云ふ作り手の熱い熱意が感じられます。

 収穫まで日照量があり、葡萄の葉と實に日が當たると糖分も上がり、凝縮した葡萄果粒が穫れます。葉の數を調整し、萬全の態勢で収穫を迎へても、採り入れの時期に雨が多いと水っぽいワインとなつてしまひます。生食用なら、瑞々しいかも知れませんが、ワイン用には向きません。小粒で實の締まつたものが良いのですね。

Cs1 そこで、マンズワインが開發した雨避け(レインカット)は垣根の上にビニールを廣げ、傘を張るものでしたが、メルシャンでは地面にビニールを張ることにより、緩やかな斜面から雨水の吸収を防ぎ、流してしまはうと云ふもの。まだ、實驗段階ですから、一部の箇所しか使はれてをらず、その結果すら出てゐませんが、上品なワインになることが期待できさうです。山の野生動物たちから實を守る爲に幾重にも柵を設け、貴重なカベルネ・ソーヴィニヨンやメルローが色附いてゐました。
 黒葡萄は房が段々と色附くのではなく、粒毎に色附くので、この時期のカベルネは斑(マダラ)模様です。10月初旬には収穫されることでせう。

| | コメント (0)

2008年6月 2日 (月)

ドイツワイン

Haag この土曜日に、都廳第一本廳舎45階、南展望室で第4回「獨逸ワインフェスト」が開かれました。普段、業者向けの無料試飲會ばかりですが、この催しは一般向けの有料試飲會で、成人してさへゐれば誰でも參加できるものの、お客さんの品位が心配で行ったこがありませんでした。

 是非にと乞はれて、行ってみると雑誌『ゴーミヨー』過去15年間に最優秀醸造家とされた15の藏のワイン、15種が飲み放題。真ん中の卓子には獨逸の黒パン類やチーズもありました。飲み過ぎることは判つてゐましたから、19時の開宴前に輕くパスタを食べて行ったのが大正解。酔ひません(笑)。

 エゴン・ミュラー、シューベルト、DR.ローゼン… 有名な藏から無くなつて行くのは目に見えてゐたので、順番通りではなく名前で選んで15種、QbAの辛口かカビネットの辛口が主で赤ワインは2種のみでした。他に今後期待されるワイン4種と全19種を制覇して、丁度お開き。多くの知人に遇ひ、藏による個性の違ひを樂しめましたね。
 11番のモーゼル地方のフリッツ・ハーグ家〈リースリング〉がミネラルの香りも豐かで、酸味と甘味の釣り合ひも取れて、割とコクもあり、餘韻もすっきり後味もよく、素晴らしかったです。

| | コメント (0)

2008年5月30日 (金)

日本のワイン

 今日も試飲會。問屋さん主催の日本のワイン特輯、全22種と少なめ。勝沼醸造の平山さん、麻屋葡萄酒の雨宮さんの造り手のお話もあり、たいへん有意義な時間となりました。生食用の殘りはもう買はない、いい葡萄からワインを造ることを農家に宣言した平山さん。ひとつのワインを造るのにも、タンク毎に酵母を變へたり、兎に角新しい造り方に挑戰してゐる雨宮さん。孰れも、自分たちだけでなく、勝沼、引いては山梨、そして日本全體で日本のワインを盛り上げて行かうと云ふ氣概に滿ちてゐました。確かに20年前は「何これ」ばかりでしたが、10年位前から徐々に目を見張るものが増えて來た感じで、まだまだ日本のワイン醸造は途中なんだとのこと。同感です。特に氣になつたのは、

 勝沼醸造の2005 アルガーノ・モンテ
山梨縣産マスカット・ベリーAを樽熟成させたものが、ヨーグルトのやうな酸味が素敵。

 麻屋葡萄酒の 2005 ASAYA NOIR 甲斐ノワール樽貯藏
通常の個性的な香りは落ち着き、果物の香りが全面に出て、角の取れたまろやかな味はひが素敵。

 今度、勝沼へ行った時は是非、寄らせて貰はうと思ひます。因みに勝沼醸造さんはレストラン「風」を經營されてゐるところです。

| | コメント (0)

2008年5月29日 (木)

ブルゴーニュ

 毎日、ワイン會續きでお疲れです。母校校友會のワイン會に15年振りに參加しました。自分が相變はらず最年少で60代、70代の大先輩ばかりなのに、唯一專門家として擔ぎ出されてワインの味はひに就いて説明する嵌めに。

 ルイ・ジャドー社のワインばかり8種類。
 1.1997 ピュリニー・モンラッシェ
 2.1997 ミュルソー「ブラニー」
 どちらもさすがに、藏出しとは云へ草臥れてました。色合ひは美しい黄金色、蜂蜜や花梨のやうな香りはしますが、熟成感が強く、頂上を過ぎてしまつた感じ。それでも、まだ飲むに値する偉大な白ワイン。

 3.1996 サヴィニー・レ・ボーヌ ルージュ
 4.1996 アロース・コルトン プルミエ・クリュ「クロ・デ・シャピトル」
 5.1997 モレ・サン・ドニ
 美しく輝かしい煉瓦色に、赤い果實のジャムのやうな華やかな香りの中に、やや土臭さ、動物臭もあり、角の取れた酸味と熟成感の釣り合ひがよい赤ワイン。サヴィニーは飽くまでも輕やかで、コルトンはやや肩透かしを喰らった感じでも、男性的で、モレ・サン・ドニがこの日一番の飲み頃でした。兎に角華やかで口元に硝子杯を持つて來るだけで幸福になりました。

 6.1997 シャムボール・ミュジニー
 7.2000 クロ・ド・ヴージョ 自社畑もの
 8.2000 シャムベルタン・クロ・ド・ベース
 シャムボールは5.よりも、まだ堅く2乃至3年後にお逢ひしたかった赤ワイン。7.8.は年號が違ふとは云へ、偉大なワインです。香りの深み、味はひの厚み、餘韻、どれも申し分なく、一度に飲んでしまふのが勿體ない位。

 立食形式故、殆ど何も食べられず、吐器もないので、飲まされ、只酔ふだけのワイン會はキツかったです。それにしても、お年寄りのパワーの凄いこと、その後、2次會へ足を運ばれてゐましたが、私はもう限界でした。


| | コメント (0)

2008年5月28日 (水)

西班牙ワイン

 兎に角、矢鱈と試飲會ばかり。業務店や専門家向けなので、或る程度節度があり、酔っ拂ふ奴は居ないにしても、かうも數を重ねると、どうしても個性的なものばかりが印象に殘つてしまふので困ります。それが、全てすき焼に合ふならいいのでせうが…

 さて、昨日は西班牙大使館で行はれた試飲會。テムプラニーリョだけでなく、ガルナッチャを始めとする地元品種のワインが目白押し。今回はグラスワイン用にと云ふことで、價格も手頃なものが多く、リオハ、カタルーニャ、トロ、ナヴァーラ等各地のワインも揃ひ、なかなかの大賑はひ。赤ワインに關しては、以外と果實香よりも、香辛料や漢方藥のやうな香りが強く、太陽を燦々と浴びた個性的なものも。味はひは皆似た傾向にあり、若いものよりやや熟成してまろやな方が飲み易いものです。
 シェリーの仲間、甘口ペドロヒメネスはミネラル分も多く、干した果實の香りもあり、濃縮した甘味が、黒糖のやうでもあり、「葛切り」に合ひさうな感じで、一度、試してみたいものです。

| | コメント (0)

2008年5月23日 (金)

ドルーアン

Jd ブルゴーニュの酒商ジョゼフ・ドルーアンは好きな銘柄のひとつです。最近知ったのですが、1880(明治13)年創業と云ふのが弊社すき焼《今朝》と一緒なので、尚更親しみを覺へます。仲買を初めて初代、自社畑での栽培に力を入れた二代目、うち捨てられてゐた畑を買ひ増し、銘醸藏にした三代目、そして現在は四人の子供達が分擔して、ブルゴーニュの全原産地呼稱地域を賣買するのではなく、自然の聲を耳にして農藥を使はない農法で栽培、釀造してゐると云ひます。昨日は取締役輸出部長クリストフ・トーマス氏の講義がありました。二米を越える偉丈夫の佛蘭西人も珍しく、通譯附で8種類の試飲です。

 1.2006 シャブリ・ドメーヌ・ドルーアン
  久し振りにきちんとシャブリの味を見る。ステンレスタンクらしい、すっきりとした仕上がりで、檸檬や白い花の香り、酸味がしっかりとしてミネラル分も豐かな上、非常に輕快で飲み易い。

 2.2006 シャブリ・プルミエ・クリュ「セシェ」
  若々しく、1.と比べると上品で綺麗な仕上がり。明るい黄金色に、白桃、ミントの香りも清々しく、きりりと締まった酸味も自然で、餘韻も長く素敵。

 3.2006 ボーヌ・プルミエ・クリュ「クロ・デ・ムーシュ」ブラン
  やや黄色味が強く、レモングラス、蜂蜜のやうな香りがあり、骨骼のしっかりとした中に、上品な酸味があり、まろやかな味はひ。新樽は20%と少なめで、樽内で12~14箇月貯藏。1925から45年の間は、巴里のマキシム專賣であつたと云ふ。モンラッシェとコルトン・シャルルマーニュの間に位置する畑故か、兩方の個性が釣り合ひよく混ざってゐると云ふ。ドルーアン社の基幹とも云ふべきワインらしく、甲殻類やフォア・グラにも合ひさう。

 4. 2006 ブルゴーニュ〈ピノ・ノワール〉
  輝きのあるルビー色、新鮮な赤い果實を潰したやうな香り、酸味も程良く、輕く、食事全般に合ひさう。2~3年樽貯藏してゐると云ふ。

 5. 2006 ショレ・レ・ボーヌ
  これは一發で氣に入る。鮮やかな明るいルビー色、若い木苺やブラックベリーの香り、角が取れた上品さがあり、時を經ればもっと酸味も落ち着くでせうからまろやかさが増すでせう。聞けば、レストラン向けに人氣のある村名ワインださうです。

 6. 2006 ボーヌ・プルミエ・クリュ「クロ・デ・ムーシュ」ルージュ
  まだ若若過ぎるものの、仄かに獸臭や香辛料の香りや、熟した赤い果實の香りに燻したやうな香りもあり、將來が樂しみ。 一口口に入れると優しさが廣がる、複雑な味はひ。鹿肉や野鴨と飲んでみたい奥行きを感じさせます。時間と共にまろやかさが増すので、5年後から10年後に頂上を迎へることでせう。

 無農藥有機農法には懐疑的でしたが、かうして自然ばかりを賣りにしない、戰前からの從來やり方に回歸しただけと云ふ立場もよく、益々氣に入りました。

| | コメント (0)

2008年5月15日 (木)

マスカット

Tasting サッポロビールの造るワイン、「グランポレール」の釀造家セミナーへ行きました。8種を釀造責任者、工藤さんのお話しを聞き乍ら試飲し、その後サッポロさんの國産ワイン全種を改めて試飲です。

 1.2007 プティ・グランポレール 山梨甲州樽醗酵 辛口
 和食に合はせることに注目したもので、おとなしい香りに柔らかな酸味。新樽30%なので、力強さよりもまろやかさに特徴があります。

 2.2006 プティ・グランポレール 北海道ケルナー 辛口
 華やかな香りの獨逸交配品種。清々しいミント、柑橘系の香りと爽やかな酸味がいい。ケルナーは北海道の土地に合つてゐるのかも知れません。後で試飲した、グランポレール 北海道余市ケルナー登町収穫(やや甘口)になると、更に華やかさが増し、北海道ミュラー・トゥルガウよりも香りも厚みも大きく雄大な印象を受けました。更に グランポレール 北海道余市ケルナー遅摘み・芳醇になると、濃厚な葡萄本來の甘味とそれを支へる酸味の釣り合ひもよく、偉大なアウスレーゼの貫禄がありました。實にいいです♪

 3.2006 グランポレール キュヴェ・セレクション 白 辛口
 業務店向けに山梨の甲州と長野のシャルドネを混醸し、750mlとしたもの。工藤さん曰く、甲州の柔らかさとシャルドネがふくよかさを與へてゐると云ひますが、自分の印象はどちらも相殺されて、個性の少ないワインになつてゐました。確かにやや厚みも勝り、口當たりはいいのですが、賣り辛いですねえ。

 4.2007 グランポレール 岡山マサカット・オブ・アレキサンドリア 薫るブラン
 來月からの新商品。マスカットの香り成分リナロールを最も抽出する収穫時期と醸造方法に拘っただけあり、瑞々しいマスカットの香りに、白い花や柑橘系の香りが強く押し出て、僅かな甘味が心地より、非常に清涼感のある味はひ。爽やかさが群を抜いてゐて、素晴らしい。かういふの好きです。

 5.2005 プティ・グランポレール 長野メルロー・カベルネ
 サッポロさんが1975年から葡萄栽培を始めた畑。カベルネ・フランも10%入り、輕快なボルドータイプを目指したもの。ややタンニンが多いものの、日本の赤ワインにしては色も濃く、納得の味はひ。

 6.2004 ヤキマバレー メルロー
 米國ワシントン州の自社畑で生育した生葡萄を輸入して造ったもの。現地でワインにしても、醸造の一時しか見られない爲、どうしてもきめ細かな配慮ができず、葡萄のまま日本に持って來るのだとか。雨の少ない土地で育った所爲か、熟成した香りや滑らかな味はひと共に濃縮感もあり、ほどほどの出來。但し、輸入葡萄でワインを造る
と云ふことに引っ掛かる人も居るでせう。

 7.2005 グランポレール キュヴェ・セレクション 赤
 岡山と山梨のマスカット・ベリーA80%に、山梨の甲斐ノワール10%と山梨のヤマソーヴィニヨン10%で造られた業務店向け750ml。色鮮やかなベリーAに、甲斐ノワールの香辛料や野獣のやうな香り、ヤマソーヴィニヨンの野性味が加はつたもの。
 セミナーなので、その場で混醸を試すことに!マスカット・ベリーAと甲斐ノワールだけのグラスと、ヤマソーヴィニヨンだけのグラスを各々味はつた後、ヤマソーヴィニヨンを半量加えてみると、確かにワイルドな味はひになりました。日本で交配された葡萄だけで造った混醸ワインとして、或る程度認識されることでせう。混醸して、個性がお互ひの出ればいいのですが、ひょっとすると來年當たりにはもっと落ち着いて深みがでるかも知れません。まだ、未知數です。

 8.2006 グランポレール 岡山マスカット・オブ・アレキサンドリア 薫るマール
 マスカットの香りをうまく抽出した白色滓取りブランデー。香りの華やかさに比べ、重厚感があります。食後にこれはいいかも知れません。好きな人は好きになる風合ひ。

 マスカットとケルナーの甘口は今回驚きました。どのワインも非常に綺麗な仕上がりです。安價なワインだと、綺麗過ぎて個性が感じられなくなり、もっと泥臭いものでもいいのではないか。ラベルも美しく、型録もお金が掛かつてゐるのが一目で判ります。中小には真似できない、大手國産ワイン醸造所としてできる取り組みを、どんどんして行って頂きたいものです。久々2時間座りぱなしの講義は有意義でした。

| | コメント (0)

2008年4月18日 (金)

佛蘭西ワイン

 本日は雨の中、「佛蘭西ワイン試飲商談會」へ。まだ輸入元が決まつてゐない醸造所、地方の輸入元、大手輸入元、色々混ざり、個性豐かな試飲會でした。ボルドー、ブルゴーニュは勿論、以外と今回元氣なのがロワールでした。ミュスカデのやうに酸味だけの輕いものから、樽貯藏のサンセール、アンジューのロゼに、カベルネ・フランのシノンやピノ・ノワール100%のサンセールだとか、さう云へば多彩な品揃へでしたねえ。

 そして、夏に向けて輕い白やシャムパーニュも鼻息が荒く、威勢が良すぎて、こちらは氣が引けます。和歌山の輸入元「西浦」のラングドック・ルーションのワインがよかったです。

 ヴァン・デュ・コムテ・トロザンの2006年産「タラニ」赤は、えっ、この値段でいいんですかと云ふ位お得感がありました。

 ヴァン・ド・ペイ・ドックの2005年産「ラ・クロワザード・リゼルバァ・カベルネ・シラー」は、地酒(ヴァン・ド・ペイ)らしい、輕やかさに適度な複雑味もあり、割と圓やかで飲み易いもの。

 ボルドーの2005年産「シャトー・ローデック・ルージュ・トラディション」は、ややメルローの比率が高いからか、滑らかな舌触りとふくよかさを兼ね備えたもの。2千圓以下としては立派。

| | コメント (0)

2008年4月14日 (月)

ワイン王子

W 先週金曜日に開かれた東京木下商事さんの試飲會に、キンタ・ド・コットの次期當主、と云ふよりは雑誌で取り上げられた通り「ワイン王子」の名に相應しい好青年、ミゲール・シャムパリモーさんが來日して、直接ワインの説明をしてくれました。12世紀の葡萄牙建國以前からワイナリーを所有する大富豪のご子息ですが、葡萄牙訛りのハキハキした綺麗な英語で、こちらの質問にも丁寧に答へてくれました。
 頂いた名刺には薄く家紋が入り、とても分厚いもので、少しテカりのある水を彈くやうに工夫してある感じです。仕立てのいいスーツといい、品の良さが漂ひます。

 170種位、全輸入ワインが陳列され、ほぼ品種別に、輕いものから重いものへ、順繰りに試飲できました。通常は、國別或ひは醸造所別なのですが、同じ品種でも地域や醸造所の違ひが判りとてもよいものでした。只、數が多いと、どうしても個性的なものしか印象に殘らず、それが料理に合ふかはまた別の問題です。

 さて、ワイン王子のワイン、2006年産〈パス・デ・テイシェイロ〉は、「緑の葡萄酒(ヴィニョ・ヴェルデ)」と同じですが、發泡してゐないので敢へて名乘らず、酸味主體の爽やかな味はひ。葡萄牙で最初にスクリュー・キャップを使用したと云ふもの。現當主であるお父さんが、収穫された葡萄や混醸用にワインを賣るのではなく、自家醸造ワイン造りを中心となつて推進して來たのだとか。「スクリュー・キャップはどう思はれますか」と逆に質問された爲、《今朝》はお座敷が主の店で、店主である私は呼ばれない限りワインを空けませんから、仲居にはコルクより簡單だと好評ですよ、と答へるとニッコリ。

 そして、〈ロゼ〉もありましたが、強く主張しない優しい味はひは、相手を選ばず、和食に合ひさうな感じです。それを尋ねると、よくぞ訊いてくれましたと言はんばかりに頷いてゐました。

 2004年産〈コット・レッド〉は、地元品種から造られた赤ワインで、極めて中庸な釣り合ひの取れたものでした。適度な澁味は赤い肉料理全般に合ふことでせう。

 もう一種、特別な2001年産〈グランデ・エスコリア〉もデキャンタに移したものを試飲できました。最高の収穫年だけしか醸造しないもので、地元品種乍らボルドーの赤ワインのやうな風格を備へ、濃い色調で、花や動物のやうな野性的な香りの通り、力強いタンニン、と複雑な味はひが素敵で、餘韻も長いいいワインです。只、お値段が安くありませんので、すき焼に合つたとしてもどれだけのお客さんが飲んでくれるでせうか。難しいところです。
 葡萄牙はポートワインとヴィニョ・ヴェルデだけの印象が払拭された試飲會でした。

| | コメント (0)

2008年4月 8日 (火)

ワイン・トウキョウ

 雨風激しい中、WINE TOKYOへ。グローバル主催の業者向け試飲會ですが、かなりの出品。今回は入り口で試飲用グラスを300圓で購入して、各出店前へ。輸入元別に色々出てますが、凄い人でなかなかグラスに注いで貰へないだけでなく、吐器へ出せずに苦勞しました。

 珍しく獨逸の若い釀造家の箇所があり、質問し乍ら試飲。但し、押すな押すなの状況では、詳しい話も聞けず仕舞ひ。爽やかな酸味主體のトロッケン(辛口)が主流なのは勿論、〈シュペートブルグンダー〉の白ワイン造りもすっきりとして、案外筍にも合ひさうでした。それと、日本の醸造所が集まつたところでは、まだまだ訪ねたことのない藏のものを興味津々で味はひました。何処もすっきりし過ぎて雑味がなく、取り澄ました感じがよそ行きで、もう少し野性味が欲しいところ。

 また、ほんたうにホテル、レストラン、酒屋だけなのか疑問に思ふやうな真っ赤な顔して酔っぱらった人も多く困ります。店先にへばり附いて次々試飲されると他の人が注いで貰へません。詳しく尋ねるのはいいにしても、談笑して他の人が相手にされなかつたり… あんまり人數が多いと嫌な點ばかりが目に附きます。和食全般は〈甲州〉がいいと最近特に確信して來ましたが、しゃぶしゃぶには、すき焼には何が合ふのでせう。今暫く疑問を追ひ掛けます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年3月27日 (木)

マデラ酒

 大西洋に浮かぶ孤嶋、葡萄牙領マデラ嶋では、シェリーやポートワインと並ぶ世界三大酒精強化ワインが造られてゐます。その多くが料理酒として使はれる爲、單體で飲まれることが少ないものの、高貴な甘味の食後酒としても用ひられます。

 珍しく、そのマデラ酒の業者向け試飲會及び講義がありました。醗酵途中に酒精を強化した後、熟成中に太陽熱により加熱(カンテイロ)させる爲、餘分な成分は蒸發して、旨味だけが凝縮すると云ふもの。その昔、大航海時代にマデラ嶋で積み込んだワインだけが、新大陸へ着いても美味しかったので、大西洋を渡る暖かい海上で熟成されたことを人工的に加熱熟成させたのが始まりだと云はれてゐます。

 そんなことは教科書を讀めば解ることですが、實際に3代目の親父さんが自ら語ると違つて來ます。南部は熟成が早く甘口になるので、北部の粒が小さく酸味が強いものと混醸して釣り合ひを取るとか、狹い畑で棚造りされるとか、一時危うかったところを日本の輸入業者が資本参加して立ち直り、今では年間13,000~14,000箱も日本に輸出してをり、マデラ酒醸造會社全7~8社の中でも突出した量を誇り、信頼関係は絶大なのだとか。

 さてその味はひ。Dry Plainは他の製品に比べて辛口と云ふだけで、非常に乾燥果實のやうな甘くと深い味はひがあり素敵です。同じ價格帶のSweet Plainは甘味の釣り合ひもよくお値打ち商品でした。そして、同一品種のみ10年寝かせたものは、セルシアル、ヴェルデーリョ、ブアル、マルヴァジアの順に鈍重で甘味が増し、アルコールもツンと來る感じです。此処まで來るとフォア・グラや西班牙の生ハムのやうな濃厚な味はひから、林檎パイ、チェコレートムースやダーク・チョコレートのやうなデザートに合ひさうです。以前、ワイン雑誌編輯長が「すき焼にはマデラ酒が合ふんぢゃない?」と言はれたことがありますから、何時か是非相性を試してみたいものです。

ヴィニョス・バーベイト社

| | コメント (0)

2008年2月26日 (火)

能登の生葡萄酒

Notowine1 日本では珍しく〈サンジョヴェーゼ〉からワインを造つてゐる「能登ワイン」を訪問。葡萄は「能登ワイナリー」が栽培し、それを別會社の「能登ワイン」が醸造、販賣してゐます。此処でも株式會社が大きな畑を持てないと云ふ戰後の法律に縛られて、大きな事業ができないやうです。外は野原で夏はブルーベリー狩りもできるし、とても氣持ちいいのだとか。併し、當日は雪の降りしきる幻想的な風景に心も和みます。

Notowine3 さて、中は近代的な立派な設備で掃除も行き届き結構大きな新しい醸造所です。但し、説明に日本酒のやうな火入れ殺菌はしてゐませんと云ひ乍ら、その設備を見せてくれ、3度に亙る濾過で微生物や不純物を取り除く「生葡萄酒」だと云ひます。「一寸、待った~」と言ひたいところを、ググッと堪へ木樽の貯藏施設へ行くと、アリエールやトロンセのオーク樽が並び、新しく瓶詰めしたワインは熟成されて更に美味しくなると加へて言ひます。それは酒質に寄るんだと心の中で叫び、上へ上がり試飲です。どうぞ無料ですから、運轉手以外の飲める方は是非どうぞとの辯。

 色も香りも期待させますが、3度の濾過の所爲か、味の薄っぺらな、印象に殘らない味はひなのがとても殘念です。よい葡萄が造られてるゐる感じはするので、これなら友人達と無濾過を詰めて貰つて木樽買ひした方が良ささうです。将來性は買ひますが、情熱を感じさせる醸造責任者の熱い説明が聞きたかったです。

| | コメント (0)

2008年1月28日 (月)

野鴨

 毎年この時期に企畫する野鴨を食す會。これは淺草のお店へワインを持ち込んで頂くのですが、殆どひとり1本は飲んでしまひます。最近は人氣が出てなかなか豫約も取れません。昨年9月に電話して、取り消しが出たからと1月末の土曜日はやっと取れたのです。

 お料理はお通しに蚕豆、蒸し雲丹。それから、鶏ワサ、砂肝串、モツ&ハツ串タレ、子鴨の鹽焼き、そして主菜となる野鴨は七輪の炭火で小さな鐵板、鋤位の大きさでせうか、その上で焼きます。鴨の脂を塗り、さっと焼いて下ろし醤油に附けて頂くと野趣溢れる香り、皮の香ばしさ、肉の旨味が堪能できます。お高いので年に一度切りしか行けません。
 今回は最後に飲んだ、1973年産シャトー・シュヴァル・ブランが絶品。枯れた味はひはタンニンとか澁味の成分が消え、カベルネぽくない優雅さが全面に出た素晴らしいもの。通常、鴨にはピノ・ノワールと云はれますが、前半に散々飲んだので締めに相應しい逸品でした。鴨雑炊、果物を食べてお開き。來年も來られるだらうか。

| | コメント (0)

2008年1月21日 (月)

完成

07fwine 店の改装が終はつた譯ではありません。昨年、11月に自分の手で葡萄を収穫し、破砕までお手傳ひしたワインが完成しました。頭の中にある獨逸のベッカー醸造所の垣根造りのラベルを手本に、サインペンだけで描きました。勿論、見て描いた譯ではありません。下書きは一切しないで直接描き入れるのは、いつものこと。學生の頃手掛けた各樂器の譜面製本と表紙の文字綴りやメニュの經驗がこんなところに役立つのですね。ラベルはきちんと貼られて來ましたが、外氣温から少し温まつたら皺が入つてしまひました。

 やや甘口の飲み易いタイプだと説明文も入つてゐましたから、もう少し暖かくなつたら頂きます。味は兎も角、自分のワインのやうな氣がして嬉しいです。

| | コメント (0)

2008年1月17日 (木)

シャトー・カミヤ

 年末年始と引っ越し、移動でてんやわんやでしたが、4日に益子へ行き、星を觀て來ました。途中、牛久に在るシャトー・カミヤ(舊牛久シャトー)へも立ち寄り、ワインな一日を過ごしました。と言つても100年前は見渡す限り葡萄畑でしたが、今は大きな庭園と素敵な煉瓦造りのシャトーが在るのみで、輸入ワインの瓶詰めと混醸をしてゐるだけと云ふのが寂しい限りです。

 ご年配の方には淺草の神谷バーで出される「電氣ブラン」即ち「電氣ブランデー」と云へば、ピンと來るかも知れません。酒の量り賣りを始め、洋酒で財を成した神谷傳兵衛が建てた先驅的な醸造所です。「蜂印香竄葡萄酒」は現在にも引き繼がれ、甘口藥草酒の「香竄葡萄酒」として販賣もされてゐます。

 併し、うちの子にとつてはテレビドラマ「花ざかりの君たちへ イケメン♂パラダイス」のロケ地として、あすこであの情景を撮つたのだの、此処はどの場面と一緒だとかを確認するのが樂しかつたやうです。と云ふのも幾度もDVDを見させられてゐる内に、背景に映る木樽やら煉瓦の建物に見覺へがあつたからです。今を去ること30年位前だかに、親父に連れられてバーベキューを食べ、飲めない親父に代はってワインを飲み干した記憶があります。中學生の分際でいけないことでしたが…。
 ただ、冬なので草木が枯れてゐたり、セットで造られた校門も勿論在りませんから、確信は持てない箇所もありましたが、概ね場所が判り、子供たちは主人公になつたつもりでニコニコしてをりました。私はランチに地麦酒を頂き、お土産にも買ひ込んで、車中助手席でうつらうつらしてしまひました。

| | コメント (0)

2007年12月 5日 (水)

グリューヴァイン

 かう寒くなつて來ますと、獨逸の温かいワイン、「グリューヴァイン」を思ひ出します。基督降誕祭前に廣場にできる「クリスマス市」でそぞろ歩きをするだけで足下から寒さがこみ上げ、顔がヒリヒリ痛い位ですから、途中の屋臺でこのグリューヴァインを頂きます。プラスチックカップに入って、湯氣が出てゐる甘口の赤ワインです。單に赤ワインを温めるだけでなく、オレンジの皮や何か香辛料が足してあり、胃の中からじんわりと温まります。決してうまいものぢゃありませんが、零下の戸外で大ぴらに酒が飲めるのも、温かいワインだからです。感覺としては甘酒みたいなもんでせうか。

| | コメント (0)

2007年11月 9日 (金)

マスカット・ベリーA

 岩の原葡萄園創業者、川上善兵衛が病氣に強く多産な葡萄を目指して交配したのが「マスカット・ベリーA」です。ベリー種とマスカット・ハンブルグ種を交配して生み出したもので、鮮やかなルビー色に、木苺(フラムボワーズ)や櫻桃(チェリー)のやうな華やかな赤い果實の香りがあり、ワインになるとこれが案外邪魔して安っぽいワインになることが多いものです。
 併し、メルシャン勝沼ワイナリーで飲ませて頂いた2004年産のマスカット・ベリーAは長く古樽に寝かせただけあつて、この鼻に附く専門用語でフォクシー・フレーバー、簡單に云ふとファンタ・グレープの香りが抑へられて、非常に香りと味はひの釣り合ひの取れたものになつてゐました。もとは混醸(ブレンド)用に造り置いたものが片隅に殘つてゐて、醸造責任者の安藏さんが試飲したところ、けばけばしいマスカット・ベリーAの香りが落ち着いてゐてこれなら商品化できると、取り組み出したものです。まだ數に限りがある爲、これは工場限定で賣つてゐるとのこと。
 今回は娘の工場見學の附き添ひで行ったのですが、子供の素朴な質問にこちらも目から鱗が落ちる程の事實や初めて知ることが多く、とても爲になりました。勝手に工場に行って來いと云ふ宿題でしたから、親の仕事に関係あるところがいいよ、と誘導して、お休みの安藏さんに無理して出て頂いて、お話しを聞くことができました。麒麟麦酒に吸収されて、翌日に自動販賣機がキリンのものになつたとか、表に出ない話にも耳を傾け、明治初期の資料館は現在も使はれてをり、實驗農場では葉の違ひから品種の違ひを知り、摘み殘りの完熟葡萄粒の試食は甘くて樂しかつたです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年11月 8日 (木)

ワイン造り體驗

 山梨市から川口湖に抜ける峠へ向かふ丘の中腹に御坂町が在りますが、此処の笛吹ワインではワイン造り體驗ができました。まづ、受附けを濟ませると、畑へ行って「甲州」食べ放題。歸へり際に少し色の薄めの酸味の強い房をひとり2つ持ち歸へり、醸造所で指定の白い長靴に履き替へて、盥の中で潰します。それを搾るのですが、滴り落ちる葡萄果汁を試飲できます。それが、林檎酸が強いので葡萄ジュースと云ふより林檎ジュースの赴きがあり吃驚。それから、獨自のラベルを描きます。長年献立表やらワインリストを手書きで書いて來たので、これはお手の物です。葡萄果汁は他の人の果汁も合はせて、後はワインになるのを待ち、來年1月半ばに自宅へ配送してくれます。
 ほんの少し自分が携はつただけですが、自分が作ったやうな顔できるので樂しみです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年11月 7日 (水)

甲州シュール・リー

 醗酵後、澱の上で寝かすロワールの製法「シュール・リー」を使つた甲州は單に辛口だけでなく、切れもよく甲州らしさも出たいいものです。メルシャンは開發しただけでなく、必ず製法も公開するので地域の醸造所でも同じやうに造ることができ、お互ひに切磋琢磨してゐる姿はワイン産地全體の底上げにも繋がり立派な行爲です。
 ところが、本家を凌ぐ甲州シュール・リーが出て來ました。ルバイヤートの甲州シュール・リーはひとつのスタイルを確立し、非常に人氣があります。妙に綺麗すぎることなく、甲州の個性もあり、割とどんな料理にも合はせ易いのでよく飲みます。それと併せて、甲州樽貯藏も仄かな樽の香りも上品で、飲み飽きすないので好きです。最近始めたソーヴィニヨン・ブランも、本家ロワールや人氣の新西蘭とはまた違つた爽やかさがありいい感じです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年11月 6日 (火)

七俵地畑

 以前から對談でよく使はれる山梨ワインが氣になつてゐました。行ってみると、昔のままの雰圍氣をよく殘した座敷、資料室、そして地下藏と注目を浴びるだけのことはあります。家族と僅かな人出で遣り繰りしてゐる様は、箱詰め作業の途中相手をしてくださった感じからも傳はつて來ます。
 その後、大女将が直接案内して下さり、試飲はバキュバンで空氣を抜いたワイン瓶から自由に選んで飲む形式。かみさんは運轉手なので子供と一緒に葡萄液を飲ませ、自分は次々試しました。勿論、試すからには買ふ譯ですから真劍です。吐器があるので飲まずに吐き出します。七俵地畑 カベルネ・ソーヴィニヨンがいい出來でした。色もよく出てゐて、香りも複雑な感じで樽の味はひもよく釣り合ひの取れた味はひです。値段の安い樽貯蔵の方がお買ひ得かも知れません。都内で手に入らないのでせうが、最近は直接ネットで購入できるやうです。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2007年10月30日 (火)

加州葡萄酒

Cawine 昨日は「加利福留尼亞葡萄酒試飲會」がありました。輸入、販賣元35社別に各生産者のワインが300種以上揃つた酒屋とレストラン等専門家向けの試飲です。
 色合ひ、香り、味はひ、餘韻をみて判斷して吐き出します。まともにやってゐては酔っぱらふし、とても全部は試すことができません。馴染みの業者に挨拶して、近年の天候やら、葡萄のできを聞いて、試飲を始めます。
 畫像はサッポロビールさんが輸入する商品群ですが、同じ品種でも葡萄生産地域の廣いもの、地區を絞つたもの、畑も収穫も限定したものがあります。併し、最高級品を店に置いたところでなかなか賣れませんので、仕入れ値幾ら以内に絞つて、品種別に見て行きました。
 以前は、果實味が強く、樽の味はひの強いものが喜ばれましたが、上品に釣り合ひの取れたものが多くありました。數をこなすとどうしても、極端なものばかり印象に殘つてしまひますが、飽くまで値段の割に美味しいものを探さないといけません。大勢の人が詰め掛けて、話もできない、或ひは前に陣取って場所を替はつて貰へず注いで貰へなかつたり、随分と加州ワインも人氣が出たものです。 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年9月10日 (月)

颱風9號

 先週金曜日までのブログは前の週に書き溜めてをいたものでした。それ故、夕立でも來ないかなんて、呑氣なことを言つてゐたら、どでかい颱風が首都圏を直撃。山梨の葡萄はどうなつたのでせう。生食用の大きなものと共に落ちてしまつたり、折れてしまつたり、してゐないのでせうか。心配です。今日も東京は雨模様。収穫の時期に雨が多いのは、葡萄粒が急に水分を含んで、ワインにすると水ッぽく凝縮感のない味はひになつてしまひます。よい葡萄があつてこそのワイン。被害が甚大でないことを祈るばかりです。

| | コメント (0)

2007年9月 7日 (金)

キザン

 山梨市のお隣、鹽山(エンザン)には地元に親しまれてゐる機山洋酒が在ります。こちらへは、大勢で來て泊まった鹽山温泉の宿で評判を聞いて訪ねてから、早10年。山梨縣でもいち早く發泡酒(スパークリング・ワイン)に取り組み、食前酒、食中酒、食後酒のブランデーまで〈甲州〉で自社製品で通せるのは此処だけでせう。昔は養蚕も盛んであつた爲、母屋は半三階建ての瓦屋根の立派な木造家屋。廣い敷地で庄屋さんが葡萄の醸造も始めた感じが殘りますが、現在は最新鋭の設備が整ひ、味はひ豐かなワインを造つてゐます。それも、年を追ふ毎に美味しくなつて、一時雑誌に紹介されてから品切れ續出で、現在は「スパークリング・ワイン」と「ファミリー・リザーブ」の赤に〈ブラック・クイーン〉の蒸溜酒「マール」と〈甲州〉のブランデー「ラ・フリューティスト」しか買へません。五月の連休位ですと未だ白ワインもありました。
 發泡酒は爽やかな〈甲州〉の良さが全面に出て、やや澁味もあり、〈シャルドネ〉や〈ピノ・ノワール〉には勝てませんが、別に勝負しないで和の食卓で、或ひはベルランで食前酒としてお飲み頂くには持って來いでせう。「ファミリー・リザーブ」も普段、週末の夜にでも開けるのに丁度良く、氣輕に頂けます。

Dh07Dh05 今回も通りを隔てた垣根造りの畑も見せて貰ひました。〈メルロー〉(左)は色附きも早く熟成しますが、〈カベルネ・ソーヴィニヨン〉(右)はまだ色附きにバラツキがあります。房の中に薄緑から紫まであつて、徐々に變はつて行くと初めて知りました。今年は7月が天候不順であつた爲發育に差が出て、8月は逆に高温續きで日差しが強すぎるので一雨欲しいとのことでした。収穫前のこの時期は本來、葡萄粒に日を當てて色附きを促進させるものですが、今年は強すぎて葉で隠す位でないと駄目ださうです。颱風が大擧して來るのも困りますが、夕立に遭ってまた元氣に育つて欲しいものです。自然が相手ではたいへんです。

| | コメント (0)

2007年9月 6日 (木)

ソレイユ

Dh22 石和のお隣山梨市にもいいワイナリーが在ります。元々地元農家の人が自分たちで飲む葡萄酒を醸造する爲に作つた「旭洋酒」でしたが、一時は廢業の危機にあつたものを若い鈴木夫妻が引き繼ぎ、2人だけで切り盛りしてゐる非常に小さな醸造所です。然も、住宅街に在るので一寸やそっとでは見附かりません。

 8月末から10月まで、収穫と仕込みに人出が取られる爲見學もできませんが、ファンのひとりとして無理に賣店だけ開けて頂き、試飲、購入させて貰ひました。此処の〈ピノ・ノワール〉の畑は勝沼とは甲府盆地を挟んで反對側の丘の斜面の高い所に在ります。以前見せて頂いた時は高原の爽やかな風の通る眺めのいい所でした。一時、ベルランでも置いてゐた時、非常に評判も良かつたので、毎年様子を伺ひに來てゐます。味はひと同時に品のいいラベルも好きです。

 去年發賣された〈メルロー〉が美味しかったのですが、今年は〈ピノ・ノワール〉が更に上品になり、弱いやうに見えて、どっこい、きちんと品種の特徴も出てゐます。ソレイユ〈甲州〉はシュール・リーを使ひ、キリリと締まった辛口で、ソレイユ「クラシック白」の方が僅かに甘味があり、香りが高く一般向きです。〈甲斐ノワール〉は〈カベルネ・ソーヴィニョン>と<ブラック・クイーン>を交配した山梨縣品種で矢張りマルスと同じやうに野趣に富んでゐますが、こちらの方が味はひに温かみがあります。そして、すぐ裏手のクサカベ地區(日下部?)で栽培された「クサカベンヌ」は〈マスカット・ベリーA〉でも、マセラシオン・カルボニック法で仕込んだ爲か、花畑のやうな華やかな果實の香りが廣がり、程良いコクで飲み易いものです。そして〈ピノ・ノワール〉はブルゴーニュ系クローンのモノを味ははせて貰ひましたが、個性が際立つてゐた氣がします。コンクールでも銀賞を得る等、徐々に力量も上がり注目株だと云へませう。

| | コメント (0)

2007年9月 5日 (水)

マルス

 翌日は朝から試飲です。今回は7名だけですから、ジャムボ・タクシーを貸切り、効率よく回ります。甲府に近い石和は甲府盆地の中でも最初に葡萄が収穫される場所です。其処に鹿兒嶋で焼酎を造る本坊酒造さんが開いた葡萄酒醸造所「マルスワイン」が在ります。以前、ベルランでも「甕仕込み」を扱つてをり、また「星舎上等梅酒」を置いてゐるので、營業さんを通じて試飲を申し込んでをきました。

Dh23 中規模の立派なワイナリーで、街道沿ひに在り、觀光バスも停まる鉄筋コンクリートの立派な施設です(1960年創業)。簡單に貯藏庫や瓶藏庫を案内して貰ひ、硝子張りの瓶詰め工程を見てから、再度地下の試飲室で試飲です。觀光客は地上階のお土産屋で無料試飲で酔っぱらひ乍ら安いワインを購入するだけですが、我々はきちんと味をみなくてはいけません。

 焼酎に使ふ甕で貯藏したところ思ひの他葡萄本來の味はひが出て良い結果が得られた甕仕込み。〈甲州〉と〈マスカット・ベリーA〉共に品のよい仕上がりです。〈甲州〉には鮎の鹽焼き、榮螺(サザエ)の壺焼きが食べたくなりました。〈マスカット・ベリーA〉にはスパゲッティや餃子なんかでもいけさうです。その前に頂いた「穂坂収穫」の〈甲州〉と〈カベルネ・ベリーA〉もとても綺麗な造りで嫌味がなく、何でもありの日本の食卓に合ひさうな味はひです。

 そして、まだ収穫量の少ない交配品種〈甲斐ノワール〉は野趣に富んだ味はひで胡椒のやうな香辛料みたいな後が少し殘るのでサラミや生ハムに合ひさうです。最後は自社畑「日之城」で造られた〈カベルネ・ソーヴィニヨン〉。此処でしか買へないだけあつて(單に數が少ない)、風格もあり、濃縮感のある複雑な香りに、アミノ酸系のコクがあり、これは立派なワインでした。

| | コメント (2)

2007年6月29日 (金)

葡萄畑

 實演歌劇は來月末まで觀られないので、本の紹介でもしませう。

 1960年代後半に亞米利加へ私費留學で渡つた主人公、浩一は夏休みの三箇月間に1年分の學費、凡そ2千弗を稼がねばならず、都會で消費生活をするよりも、加利福留尼亞(加州:カリフォルニア)の葡萄畑で働くことにした。
 高橋三千綱著 『葡萄畑』 新潮文庫 は自身の體驗を元に社會の底邊で働く日系勞働者たちの日常を描いてゐます。單なる體驗談ではなく、しっかりと自身の中で醗酵させ、熟成させた小説です。
 今でこそ、機械で収穫する大農場も當時は安い賃金で人を雇ひ、過酷な勞働をさせてゐました。然も、密入國したり、難民として運ばれて來たり、査証すら持つてゐなかつたり、英語もままならず日本語とチャンポンであつたり、一種獨特な雰圍氣です。身體さへ動けば、葡萄畑でも苺畑でもオレンジ畑でも一年中仕事はあるものの、キツイ割に賃金の安い仕事で生活は樂にはならず、貯まつた賃金は給料日に買ふ酒と女で消え失せてゐます。作物の収穫と共に日系人のキャンプを渡り歩く勞働者の中に、アルバイトとして迷い込んでしまつた學生は戸惑ひ、反撥し乍らも仲間として受け入れられ、やがて去つて行きます。カウボーイハットの白人が仲間を轢き殺しても車の修理代を寄こせと云ふ理不尽な現實や、今はこんなことはないのでせうが、ワインの裏事情とでも云ふべき昔の亞米利加の一面が鋭く描かれてゐます。


| | コメント (0)

2007年6月 1日 (金)

サンドとワイン

5月19日のサンドの料理に合はせたワインも掲げてをきませう。

 ○2002年産 モンムスー 「トゥーレーヌ」 キュヴェ・J・M ヴァン・ムスー
 「佛蘭西の庭」と讃へられるロワール河。その中流に位置するトゥーレーヌ地區で採られた葡萄からワインを造り、再度瓶の中で二次醗酵させ、傳統的方法でその炭酸瓦斯を封じ込めた發泡酒です。爽やかで細かい泡が心地よく刺戟しました。シュナン・ブランでも結構美味い辛口の発泡酒になるものです。

Sancere ○2005年産 アルフォンス・メロ 「 サンセール」 アン・グラン・シャム
 1513(永正10)年の文献に既に名前が出て來るメロ家は、家族經營の大きな醸造所で、丘の頂上近く、南西向き斜面に廣がる最上の畑を所有してゐます。次期當主となる19代目のアルフォンス・エドモンド・メロは品質管理を徹底し、サンセールでは珍しく、オーク樽を一部使ひ、青臭くなりがちなソーヴィニヨン・ブランに複雑さを與へてをり、美味かったです。

 ○2005年産 ピエール・ゴーティエ 「ブルグイユ」  ジュール・ド・ソワフ
ピエール・ゴーティエは農藥や除草剤を一切使はず、土を鋤き返して空氣を入れた畑で葡萄を造り、蟲が附き易いので、非常に手間の掛かる作業を經て、亞硫酸すらも無添加にして、自然派ワインに拘つてゐます。それ故、水っぽくない、カベルネ・フランらしい枝っぽい味はひの上品な赤ワインでした。玉葱の甘味が生きたベアルヌ風牛フィレには合はないと云ふお客様と、絶妙であつたと手放しで絶賛される方と賛否兩論でした。

 ○2003年産 シャトー・ド・シャムブロウ 「サヴァニエール・ ロッシュ・オー・モワンヌ」
シュヴァニリエ・ブアール キュヴェ・ダヴァン・ドゥー
 サヴァニエール地區のシュナン・ブランは、辛口の白ワインで有名ですが、甘口も造られてをり、ラベルにdoux(甘口)の表示があります。時折頭の痛くなる、單に甘いだけのワインもありますが、これはコクもあり、酸味との釣り合ひもよく、エレガントな味はひでした。

 餘りロワールのワインだけで料理を通して食すことはないので、面白い試みになりました。


| | コメント (0)

2006年12月22日 (金)

熟成した味はひ

 ワインの年代ものは高い割によくわからないと言はれたことがあります。もともと酒質が濃く、酸味のしっかりとしたものは長生きして、長期熟成にも耐えられますが、ミュスカデやボジョレーのやうな輕いワインは熟成させずに、2~3年の早いうちに飲んでしまひます。例外的に現地へ行くと、良い年のものを醸造所に保管してゐることもあります。

 1998 Leroy Bourgogne Rouge
 ルロワ ブルゴーニュ・ルージュ
 7,350圓

 ピノ・ノワールの赤ワインが若い頃は熟成してゐない果實の香りがしますが、程良く寝かせたものですと、熟れた赤い果實やジャムのやうな香りになります。強かつた酸味も角が取れて、まろやかになつて、飲み易くなります。「ブルゴーニュの赤」と名乘るだけのワインは山程ありますが、そこは造り手の差が際立つて出て來ます。ルロワは古くから續く酒商(ネゴシアン)ですが、自社畑もあり、名物マダムのワイン造りに定評があります。讀賣新聞のWEB版にドメーヌ・ルロワの記事が出てゐます。
 その中に出て來る購入擔當者(バイヤー)が友人のご主人なので吃驚。然も、ご結婚前の結納式をすき焼今朝で擧げた際に、私が持ち込まれた「ロマネ・コンティ」を開けたのでした。それが最初で唯一の味見です。1本50萬圓以上の代物です。1980年ものであつたでせうか、10年位經てゐて、評判の割には感動するには至りませんでしたが、震える手で開けたことは忘れられません。味はひの記憶はなくとも、口にした事實だけは殘ります。ソムリエとして一度でも飲んだことがあると云ふのは他の評價をする際でも強いものですね。

丁度飲み頃を迎へたワインの素晴らしさを是非、ご自分の舌でお確かめ下さい。

| | コメント (0)

2006年12月21日 (木)

ベンフィールド・デラマー

 昨年訪れた新西蘭(ニュージーランド)のワインも忘れられません。ピノ・ノワールの産地として有名になつたマルティンボロウへは、首都ウェリントンから車で峠を越えて行きますが、大企業のお偉ひさんは首都からヘリコプターで一ッ飛びして、醸造所併設レストランで食事をするのださうです。

 2003 Benfield & Delamar Melot, Cabernet Sauvignon & Cabernet Franc
 ベンフィールド・デラマー メルロー、カベルネ・ソーヴィニヨン・ブラン、カベルネ・フラン
 9,450圓

 朋友楠田浩之がピノ・ノワールやシラーの世話をする近くにベンおじさんは頑固一徹カベルネやメルローを造つてゐます。町中がピノ・ノワールの産地だと言つても、此の土地はボルドー系のカベルネやメルローに合ふものだと譲りません。葡萄の出來が良くなるからと、作業効率を度外視し、ワイヤーの位置を10糎程下げてでも良いモノを造らうと云ふ姿勢は見上げたものです。事實、そこで生まれるワインの素晴らしいこと。コルクひとつを取つてみても、全て1個づつ品質を確認し、瓶に一打するにも入魂の作業です。

 お客には至つて氣さくに接して、氣に入つたなら買つてくれと云ふだけで、こちらから尋ねないと畑や葡萄の出來等細かい話は一切しません。複雑な香りと味はひは、ボルドー好きにはたまらないことでせう。

| | コメント (0)

2006年12月20日 (水)

モンフェラート・ロッソ

 10月の北西伊太利紀行で訪ねた葡萄酒醸造所のワインが手に入りました。地下藏に自家製のサラミがぶら下がつてゐたヴィラ・スパリーナ(2006年11月 9日 の記事をご参照下さい)の赤ワインです。

 2003 Villa Sparina Sampo Moferato Rosso
 ヴィラ・スパリーナ サムポ モンフェラート・ロッソ
 5,250圓

 ずんぐりむっくりした瓶も可愛らしく、バルベーラ種を主體にメルロー種をブレンドし、バリック(オークの小樽)で醗酵、貯藏した、色合ひも濃く、澁味とまろやかさが混在し、程良いコクのありワインです。自分にとつても思ひ出のワインですと、つひご案内にも力が入ります。醸造所はガヴィの村近くに在りますが、この赤ワインはモンフェラート地域で収穫された葡萄を使つてゐます。

 斜面を利用した醸造所の地下藏は中世の修道院時代から續く古いものですが、そこをうまく利用、改造して使つてゐました。恐ろしく綺麗に整備され、掃除も行き届き、見學に來る人も多いのでせう、照明も間接にして工夫が凝らされ、とても氣持ちがよいところでした。木樽がずっと真っ暗な先まで並んだ姿は壮觀です。そんな自分が訪れた醸造所のワインを扱へるのは嬉しいものです。

| | コメント (0)

2006年12月19日 (火)

獨逸の赤葡萄酒

 北の大地、獨逸は葡萄栽培の北限の北緯50度の在り、日照量がどうしても足りません。それ故、太陽光線が直角に當たるやうな急斜面に畑を造り、河面の反射も利用してゐます。そして、弱い日差しが酸味がゆっくりと減らし、徐々に糖度が増して來ます。ですから力強い酸味の辛口や、酸味と甘味の調和の取れた味はひに仕上がります。

 獨逸のワイン産地の中でも南に位置するバーデン地方はライン河沿ひに南北400粁も續く地域です。ライン平野の中に在つて、唯一の火山性臺地(標高557米)が「皇帝の椅子(Kaiser Stuhl)」と呼ばれてゐます。此処は温かく、水捌けの良い土地で乾燥してゐることが葡萄造りに適してをり、葡萄農家協同組合が發達して來ました。
 近年、零細農家でも醸造設備を調へて、ワイン造りを始めるところが増えてゐます。

2004 Trautwein Kaiserstuhl Spaetburgunder QbA trocken \6,300
トラウトヴァイン カイザーシュトゥール・シュペートブルグンダー QbA辛口

有機農法ワインは効能を謳ふ割にはたいしたことがないワインが多いのですが、此処のワインは成功してゐます。獨逸では日照量不足から色附きの惡い黒葡萄しかできず、赤くない赤ワインが多い中で、しっかりとした色とシュペートブルグンダー(ピノ・ノワール)らしい、赤い果實の香りのする上品なワインに仕上がつてゐます。

| | コメント (0)

2006年12月18日 (月)

おすすめのワイン

 師走に入ると俄に忙しくなり、ブログ更新もなかなか儘になりません。今日から基督降誕祭(クリスマス)特別ディナーが始まりました。25日(月)までの限定ですので、ご利用下さい。
 ワインリストも一新しましたので、今週はベルランのリストに載つてゐるワインの紹介を致しませう。

Bdc ボーモン・デ・クレイエール・グラン・レゼルヴ・ブリュット・シャムパーニュ
 NV Beaumont des Crayeres Grande Reserve brut Champagne
 硝子杯 1,575圓

 基督降誕祭のやうな年に一度、佛蘭西料理を食べるやうな機會には是非シャムパーニュで乾杯して下さい。うちはビストロですから、そんなに堅苦しく考へずに召し上がつて頂きたいと思つてゐますが、まだまだコチコチになつてしまふお客様も多いやうです。彼女との初めての食事で間が持たなかつたとしても、ぐいぐいとワインを飲むものではありません。そんなことしては、デザートに行き着く前に酔ッぱらひます。折角の雰圍氣を提供してをりますから、是非、會話を樂しんで下さい。それには、普段から話題の抽斗を多く持つてゐないといけませんから、澤山本を讀むのが一番です。テレビやネットの上ッ面の情報ではすぐに化けの皮が剥がされますよ。

 さて、シャムパーニュは發泡酒の最高峰として、シャムパーニュ地方産の葡萄だけを使ひ、瓶内二次醗酵により造られたワインです。清涼飲料水の炭酸瓦斯と違ひ、泡は細かく、硝子杯の下からゆるゆる上がり、水面に環を作ります。結婚式の乾杯用シャンパンはご豫算の関係もあり、決して高級品を使へませんし、勢ひよく音を立てるので折角の炭酸瓦斯が抜けてしまひます。それ故、ご挨拶の途中で泡が無くなります。レストランではフルートグラスを使ひますが、これは泡立ちを見るのに適してゐます。口の廣いクープグラスはアール・ヌーヴォーの頃に一世を風靡しましたが、現在は洗ひ易いので宴會で使はれてゐます。焼きたてのパンのやうな酵母の香りと舌の上でも心地よいピチピチ感、そしてすっきりとした喉越しをお樂しみ下さい。

 

| | コメント (0)

2006年11月10日 (金)

シャケトラ

Dh000126_1 ジェノヴァから南東に地中海沿ひに下ったチンクエテッレの醸造所も見學して來ました。協同組合の施設でしたが、この邊りは皆零細農家で醸造設備がないのだとか。もともと崖の岩を崩し、段々畑にして他との接触すらなく1000年は過ごして來たなんて話しを聞くと、人の力の凄さ、時代を超える何かがあるのかと思ひます。戰後、道路ができるのも反對した位結束が強く、長男の他、男兄弟は勞力として歡迎されましたが、女の子だとがっかりしたんださうです。さう云ふ辛い土地での葡萄栽培も代替はりと共に減る一方なので、殘念がつてゐました。

 世界遺産に指定されて脚光を浴びてゐる「チンクエテッレ」とは5つの漁村と云ふ意味ださうですが、小さな港町ですが一部漁業関係者以外の農家は海を見る與裕はなかつたさうです。下を見たら落ちます。それ位凄い壁のやうな岩山肌です。チンクエテッレと云ふ名の地元品種の辛口の他、此処の「シャケトラ」が有名です。最初この言葉を聞いた時は日本語の「鮭虎」かと思ひましたが、陰干しして糖分の増した葡萄から造る天然甘口ワインです。

Dh000137_1 350ミリリットルの半瓶で35ユーロと安くありません。農民の血と汗の結晶だと思ふと、大事に飲まねばと思ひます。獨逸の極甘口貴腐ワイン、トロッケンベーレンアウスレーゼとは違ひ、アルコール度數もそこそこ有り、甘いと云つても干し葡萄の風味そのままで、飽くまで伊太利の青い空のやうな爽やかさがあります。

| | コメント (0)

2006年11月 9日 (木)

ヴィラ・スパリーナ

Dh000030 ピエモンテの代表的白ワイン、ガヴィの産地にも行きました。ガヴィの町は丘の中腹か山頂近くに在る思ひの他小さな町で吃驚です。建物の迫る狭い通りを抜け、そこから更に丘を越え、森を越えて行きます。やっと見えて來たヴィラ・スパリーナ(Villa Sparina)は實は高速道路からも程近く、敷地内に小さなホテルを經營し、最近リストランテまで開業を始めたやり手の葡萄酒醸造所です。原料となるコルテーゼ種が回りを囲むやうに植ゑられてゐて、17世紀からの地下藏も整備されて使ひ勝手もよいやうです。泊まり客は無料試飲と地下藏見學が許されてゐますが、さうでないと有料ださうです。此処でもスプマンテが造られてをりますが、瓶内二次醗酵故、シャムパーニュのやうな細かい泡立ちとコクのある辛口が素敵です。バリック樽も綺麗に並べられ、自家製サラミも貯藏されてゐましたが、これがまた美味しい。分けて貰へないかと真劍に惱みました。

Dh000044 此処のガヴィはずんぐりむっくりとした可愛らしい瓶にも人氣があり、中身だけでなく差別化が成功してゐます。若々しく、輕快な味はひは特に料理を選ばず、廣く一緒に飲めさうです。赤ワインは同じ形の黒瓶に入つたバルベーラ種でしたが、思ひの他重く、しっかりとした味はひでした。大金持ちがお金を掛けてワインを造り、意匠を凝らして瓶やラベルをデザインさせた感じですね。

 此の邊でも朝は霧(ネッビア)で霞ます。霧が出る頃に収穫するのでバローロの葡萄品種ネッビオーロは名附けられたのだとか。


| | コメント (0)

2006年11月 8日 (水)

エリオ・アルターレ

 ラ・モッラのリストランテで白トリュフを食べてゐた時、隣の卓子に着いた面々を何処かで見た氣がしました。係の者に尋ねると、近くのワイナリーの人ですよと氣輕に言ひますが、それは「バローロ・ボーイズ」と呼ばれた、1980年代にバローロの可能性を信じて單なる地元ワインから、世界に名を廣めるやうな高品質のワインを造り出した醸造家の一人、エリオ・アルターレさんでした。それまでは自分の所で醸造することなく、大手ワイナリーに葡萄を賣却するだけの葡萄農家が多かつたのです。

Dh000104 伊太利のソムリエの資格をもつ我々の良き通譯、池田美幸さんの懇願により、翌日藏を見せて頂くこととなりました。バローロ・ボーイズの中でも「最高の造り手」、または「バローロ・ボーイズの頂點」と賞賛されるエリオ・アルターレ(Elio Altare)さんは、よいワインを造る爲には熟成用の小樽(バリック)が必要だと、内緒で代々傳はる大樽を鋸で真っ二つにして、親に勘當されたこともあつたさうです。ラ・モッラ村から下ること半ばに横道に入ると藏は在りました。裏はテラスで葡萄畑を一望にできる飼ひ犬すら見惚れる程の素晴らしい見晴らしです。

Dh000110Dh000111 ワイン造りとは何か、自分の哲學を延々と話し、それぢゃ貴重な話しを聞いたんだから帽子持って回るかな(心附けをくれ)と冗談ばかり言ひます。小さな農家が土地を守りワイン造りができないやうではいけない。環境にも優しくない。大企業だけに任せてはいけないんだ、とそれまでの經驗を語つてくれました。
 地下藏へ下りると、折角だから醗酵途中のものも飲ませてあげようと、ステンレスタンクの口を捻り、生温かくて、まだ甘い、ピチピチ炭酸が舌を刺戟するものも味はせてくれました。本來賣りものになるワインの素ですから、試飲させてくれることは非常に稀です(歡迎されてる?)。そして、整然と並んだバリックを自慢げに見せてくれました。オレが若い時にはこんな小樽を使つてるのはバローロに誰も居なかった。でも、もっといいものを造りたいと思ひ、試行錯誤の結果がかうなんだ。今では喰ふに困らなくなり、上の娘は獨逸へ留學させたら、あっちで彼氏をつくりやがって… 話しは飛びます。オレは最近買つた別荘へ行くからと、試飲は奥様に代はりました。別荘はなんとチンクエテッレに在るのだとか。何だ翌々日、我々も行くよと傳へると、君たちはどう云ふ團體かい、と目を丸くしてました。伊太利人も羨むやうな白トリュフに、南の海に面したポルトフィーノや世界遺産チンクエテッレに行くとはねえ。おったまげたと!

 日本で買ふと1萬圓を下ることはなく、然も數が限られてゐる爲殆ど手に入らないエリオ・アルターレのバローロ。普段飲むにはドルチェットが良いとか、バルベーラ、ランゲ・ロッソと飲み、2002(平成14)年のバローロは雹が降り全滅したので作れなかつたとか、「リンシエメ」と云ふ混醸ものを仲間で同じ名前で出したとか、話しを聞き乍らゆっくり、じっくり試飲させて貰ひました。殘念なのは有名な「アルボリーナ」は既に完賣して在庫がなかつたことでせうか。

| | コメント (0)

2006年11月 7日 (火)

コンテルノ・ファンティーノ

 今回最初に訪れたバローロの醸造所は「コンテルノ・ファンティーノ(Conterno Fantino)」です。コンテルノ兄弟とグイド・ファンティーノ氏の三人が1982(昭和57)年に、モンフォルティ・ダルバの丘の上に近代的な醸造所を構へたのが始まりです。彼らが所有する34ヘクタールの畑の内、丘陵の上部は海抜後500米を超える冷涼地なので、晩熟のネッビオーロには適してゐません。それ故、代はりにドルチェット種が植ゑられ、他にバルベーラやシャルドネもあります。

Dh000080 丘を登ると小さな看板があり、來意を傳へると遠隔操作で鐵門が開きます。まだまだ坂を上がる兩側には葡萄畑が續き、天邊に藏はありまあした。煉瓦に蔦の絡まる山吹色の建物の中は恐ろしく綺麗に清掃され、藏の中を順繰りに説明して見せてくれました。ステンレスタンクで醗酵後、バリック(水楢の小樽)で12箇月またはそれ以上熟成させる爲、非常にタンニンが多く、10年後にやっと飲み頃がやって來る感じです。

 普通バローロと云ふと大樽で熟成させた、まろやかで複雑味が買りものですが、これはそんな概念を吹き飛ばす重くてしっかりとした味はひです。試飲室には醸造を擔當してゐる創設者の一人がをり、近所のおじさんたちに囲まれて説明を盛んにしてゐました。ところがその多くの人たちは冷やかしであつたのか、赤ら顔のまま歸へりましたが、もう一方の2人は箱で山程買ひ、車に載せてにこやかに行つてしまひました。我々はと云ふと、今後の旅程を踏まえ、自分の體力とも相談し乍ら買はねばなりません。伊太利では郵便事情が惡いですから、此処から送つたとしても届く保障がありません。その結果、手に持てるだけしか買ふことができません。

Dh000078_1 2002(平成14)年は天候不順であつた爲、個別畑名でワインは造らず、バローロは全て混醸し、逆に通常より質の高いバローロになつてゐました。遠くからわざわざ來たからと他の人には賣らない、個人貯藏庫から以前借りてゐたパルージ(Parussi)畑のバローロ1998(平成10)年ものを用意して下さり、一同感激です。それにしても、とてつもないタンニンは何時頃解けるのでせうかねえ。10年後、若しくは20年後なのでせうか。先を見る樂しみもワインにはあります。

| | コメント (0)

2006年11月 6日 (月)

ヴェルモット

 ピエモンテ發祥のひとつに、ヴェルモット(vermouth)もあります。苦蓬(ニガヨモギ)等藥草や香辛料を白ワインに漬け込んで造るワインのことで、英語ではアロマタイズドワインとか、フレーバード・ワインと呼ばれてゐます。
 カルパノ(Carpano)社は1786(天明6)年にプント・エ・メスを發賣し、先驅けとなりました。ヴェルモットは獨逸語のヴェルムート(苦蓬)から名附けられ、通常15~40種の香草、藥草が配合されてゐます。色はカラメル色素により附ける爲、その量により赤にも白にもなります。

 また、ヴェルモットはカクテルの材料としても使はれ、辛口と甘口が有ります。伊太利ヴェルモットは主に甘口で、カクテル「マンハッタン」に使はれます。チンザノ(Cinzano)社やマルティーニ(Martini)社製のものが何処でも手に入ります。それに對して、佛蘭西産のヴェルモットは主に辛口で、カクテル「マティーニ」の原料となり、ノイリー・プラット(Noilly Prat)社製のものが多く使はれてゐます。

Dh000023 今回はアスティに工場を持ち、發泡酒(スプマンテ)も造るペルリーノ(Perlino)を訪ねました。工場内もスプマンテとヴェルモット部門に分かれてゐます。大量生産により安く供給する爲、スプマンテの原料となるモスカート種の果汁は、年に一度秋に収穫されて搾られたものを低温で仕舞つてをく巨大な貯藏施設があり、加壓タンクで發泡酒が造られます。そして、瓶詰め後箱詰めされたものが2階分位に積み上げられて、手際よく捌かれてゐました。また、各國向けの獨自混醸により完成したヴェルモットは、液體のままタンクローリー車で運び出され、その國で瓶詰めされます。手造りのワインばかり見てゐた我々には桁違ひに大きな設備に吃驚でした。

 此処では、自慢のスプマンテと、古文書の記述から再生した特別ヴェルモットを試飲しました。通常、食前に飲むことが多いスプマンテもアスティ・スプマンテは甘口故食後に合ひ、ヴェルモットも熟成させた濃厚な甘味が猪口冷糖(チョコレート)に合ふとのことで、ビターチョコと一緒に味はひました。畫像はその美味さを堪能することが先行して、つひ忘れました。

| | コメント (0)